腹痛
腹痛とは?
腹痛は、多くの人が経験する症状の一つであり、その原因は多岐にわたります。
軽度のものから緊急性を要する疾患までさまざまな病気が関係している可能性があり、適切な知識を持つことが大切です。
腹痛の種類
腹痛は発症の仕方や持続時間によって分類されます。
1急性腹痛(突然発生する痛み)
- 短時間で強い痛みが現れます。
- 炎症性疾患(虫垂炎、胆嚢炎、膵炎など)が原因の場合が多いです。
- 消化器系以外にも、尿路結石や婦人科系疾患が関連することもあります。
2慢性腹痛(1ヶ月以上続く痛み)
- 断続的、または持続的な痛みが続きます。
- 過敏性腸症候群(IBS)や炎症性腸疾患(IBD)、胃炎などが原因の可能性があります。
- 精神的ストレスや食生活の乱れも関与します。
3突発的な腹痛(突然強い痛みが出現)
- 腸閉塞、胆石症、腹部大動脈瘤破裂、尿管結石などの危険な疾患が疑われます。
- すぐに医療機関を受診する必要があります。
腹痛の原因
腹痛の原因は、発生部位や痛みの性質によって異なります。
1消化器系の疾患
- 胃炎・胃潰瘍:みぞおち付近の痛み、吐き気、胸焼けを伴います。
- 胃がん・大腸がん:進行すると痛みや食欲不振、体重減少を伴います。
- 腸閉塞:激しい痛みと腹部膨満感、便秘や嘔吐を伴います。
- 胆石症・胆嚢炎:右上腹部の強い痛みや発熱を伴います。
2感染症・炎症
- ウイルス性胃腸炎:発熱、下痢、嘔吐を伴うことが多いです。
- 潰瘍性大腸炎・クローン病:慢性的な下痢や腹痛が続きます。
- 虫垂炎(盲腸):初期はみぞおち周辺の痛み、次第に右下腹部に移動します。
3婦人科系の疾患
- 月経痛・子宮内膜症:下腹部の鈍痛や圧迫感を伴います。
- 卵巣嚢腫・卵巣捻転:急激な下腹部痛を伴う場合、緊急対応が必要になります。
4腎・泌尿器科の疾患
- 腎盂腎炎:発熱と左右どちらかの腰の痛みや側腹部痛を伴います。
- 尿管結石:突然左右どちらかの腰の痛みや下腹部痛を伴います。
5その他の要因
- ストレス・自律神経の乱れ:過敏性腸症候群(IBS)や胃痛の原因となります。
- 食生活の影響:脂肪分の多い食事やアルコール摂取による胃腸の不調が影響します。
腹痛の発生部位ごとの特徴
- 上腹部の痛み:胃炎・胃潰瘍・胆石症などが原因になります。
- 右下腹部の痛み:虫垂炎・腸炎、尿管結石などが考えられます。
- 左下腹部の痛み:大腸炎・便秘、尿管結石などが疑われます。
- 全体的な痛み:胃腸炎・腸閉塞などが原因になります。
腹痛の検査と診断
自宅でできる腹痛の対処法
腹痛が軽度の場合、自宅でできる対処法を試してみましょう。
- 胃腸を休める:食事を控え、水分を摂取します。
- 温める:お腹を温めることで筋肉の緊張を和らげます。
- 消化の良い食事を摂る:おかゆ・スープ・ヨーグルトなどを選びます。
- ストレスを軽減する:リラックスした環境を作ります。
受診が必要な腹痛のサイン
以下の症状を伴う場合は、速やかに医療機関を受診してください。
- 突然の激しい痛みがある場合
- 発熱や嘔吐を伴う場合
- 血便や黒色便がある場合
- 意識障害を伴う場合
- 長期間(数日以上)続く痛みがある場合
最後に
腹痛はありふれた症状ですが、その原因は多岐にわたります。
軽度の腹痛は自宅で対処できますが、危険な症状が伴う場合はすぐに医療機関を受診しましょう。腹痛に関する不安がある方や、症状が続く場合は、お気軽に当院を受診してください。
監修:仁愛堂クリニック 院長 小林俊一