アニサキス
~最新の内視鏡治療でアニサキス症を迅速に解決|専門医が正しい知識を解説~
アニサキス症の基礎知識と対策:予防から治療まで徹底解説
アニサキスは、魚介類に潜む身近な寄生虫であり、生の魚介類を食べる機会の多い日本では、そのリスクを正しく理解することが非常に重要です。
この寄生虫が引き起こす食中毒、アニサキス症は、年間を通して数多く報告されており、時には激しい痛みを伴うことで知られています。しかし、適切な知識と対策を講じれば、そのリスクをほぼ完全に回避することが可能です。
この記事では、アニサキスの生態から、アニサキス症の症状、診断・治療法、そして具体的な予防策に至るまで、徹底的に解説します。
アニサキスとは?その驚くべき生態とライフサイクル
アニサキスは、クジラやイルカといった海洋哺乳類を最終的な宿主とする線虫の一種です。その幼虫は、サバ、イワシ、サンマ、イカ、アジ、カツオ、サケ、タイなど、私たちが日常的に口にする多くの魚介類に寄生しています。
アニサキスは体長2~3cm、幅0.5~1mmほどの白い糸状の姿をしており、肉眼でも確認できるサイズです。
通常は魚介類の内臓に寄生していますが、魚が死んで鮮度が落ちると、より生きやすい環境を求めて筋肉部分へと移動する性質があります。
そのため、釣り上げた魚や購入した魚は、できるだけ早く内臓を取り除くことが、アニサキス症予防の第一歩となります。
アニサキスのライフサイクルは、以下の通り、複数の宿主を渡りながら複雑な食物連鎖を形成しています。
①最終宿主(海洋哺乳類): クジラやイルカの体内で成虫に成長し、産卵します。
②卵と中間宿主(甲殻類): 成虫の卵は最終宿主の糞と共に海中に排出され、孵化します。孵化した幼虫は、オキアミなどの小型甲殻類に捕食され、体内で成長します。
③第二中間宿主(魚介類): 感染した甲殻類がサバ、イワシ、サンマなどの魚介類に捕食されると、アニサキスはこれらの魚の体内に移動し、主に内臓に寄生します。
そして、人間がこの第二中間宿主である魚介類を生で食べることで、偶然アニサキス幼虫を体内に取り込んでしまうのです。しかし、人間はアニサキスの本来の宿主ではないため、アニサキスは人間の体内では成虫になれません。
この「宿主ではない」という状況が、アニサキスが胃や腸壁に侵入しようとする行動、そしてそれに伴う激しい症状を引き起こす原因となります。
アニサキス症の症状と病態:なぜ激しい痛みが起こるのか?
アニサキス症の症状は、アニサキスが人間の体内のどこに侵入するかによって異なり、その病態にはアニサキスの物理的侵入と、それに対するヒトの免疫反応が深く関わっています。
急性胃アニサキス症
・アニサキス症の中で最も多く見られるタイプです。
原因となる生の魚介類を摂取してから2〜8時間以内に、みぞおちのあたりに刺すような激しい痛みが突然起こります。
これは、アニサキスが胃壁に頭部を突き刺して侵入しようとすることによる物理的な刺激が直接の原因です。
さらに、この侵入を防ごうとする体の免疫システムが、アニサキスに対してアレルギー反応を起こします。
これにより胃の粘膜が大きく腫れ上がり、この炎症が吐き気や嘔吐を伴う激しい痛みの主な原因となります。
痛みは非常に強く、「経験したことのない激痛」と表現されることも少なくありません。
急性腸アニサキス症
これは、アニサキスが寄生していた魚介類を加熱調理して食べた場合でも発症する可能性があるタイプです。
アニサキスが持つアレルゲン(抗原となるタンパク質)に、体の免疫システムが過剰に反応することでアレルギー症状を引き起こします。
主な症状は、蕁麻疹や皮膚の発疹、かゆみですが、重症の場合は呼吸困難やアナフィラキシーショックに至ることもあります。
過去にアニサキスを摂取した経験がある人は、この免疫反応が起こりやすいとされています。
アニサキスアレルギー
・胃アニサキス症に比べて発症率は低いですが、アニサキスが胃を通過して腸壁に侵入しようとすることで起こります。
症状は魚介類の摂取後、10時間以上、時には数日経過してから現れることがあり、下腹部に強い痛みが起こります。
腸アニサキス症では、腸の閉塞や腸壁の浮腫(むくみ)を引き起こすことがあり、腹部膨満感や便秘、腸の痙攣といった症状が見られます。
まれに、腸閉塞や腸穿孔(腸に穴が開くこと)といった重篤な合併症を引き起こすこともあるため、注意が必要です。
アニサキス症の診断と治療:迅速な対応が鍵
アニサキス症が疑われる激しい腹痛や嘔吐などの症状が現れた場合は、迷わず医療機関を受診することが非常に重要です。
特に胃アニサキス症の場合、迅速な対応が痛みの劇的な改善につながります。
1診断方法
・問診と食事履歴の確認: 医師はまず、直近に生魚を食べたかどうか、症状の発生時刻などを詳しく確認します。
・胃内視鏡検査(胃カメラ): 胃アニサキス症の場合、これが最も確実な診断・治療法です。
内視鏡で直接、胃の粘膜に食い込んでいるアニサキスを見つけ、その場で鉗子(かんし)と呼ばれる器具を使って除去します。アニサキスが除去されると、痛みは劇的に改善します。
・CT検査:超音波検査: 腸アニサキス症が疑われる場合や、内視鏡が使えない場合に、腸の炎症や腸閉塞の有無を確認するために行われます。
アニサキス症を確実に予防する4つの方法と誤解
アニサキスは、魚介類に寄生する線虫の一種です。この虫が生きている状態で体内に取り込まれると、食中毒の一種であるアニサキス症を引き起こすことがあります。
① 加熱処理: 最も確実な予防法
アニサキスは熱に弱く、60℃以上で1分以上加熱することで死滅します。
一般的な調理法(焼く、煮る、揚げるなど)であれば、この条件を満たせるため、安全に魚介類を食べることができます。
②冷凍処理: 低温も効果的
厚生労働省のガイドラインでは、マイナス20℃で24時間以上冷凍することが有効とされています。
家庭用の冷凍庫では設定温度がマイナス18℃程度であることが多いため、より長時間(48時間以上など)冷凍することが推奨されます。
③鮮度管理と目視確認
アニサキスは魚が死んで時間が経つと内臓から筋肉へ移動する性質があります。
魚を購入したら、できるだけ早く内臓を取り除き、冷蔵庫で保管しましょう。
また、刺身や切り身にする際、アニサキスの姿を目視で確認し、見つけたら取り除くことも重要です。
白い糸状のものが疑われる場合は、食べないようにしましょう。
④間違った予防法に注意
ワサビ、醤油、アルコール、酢(酢締め)は、アニサキスを死滅させる効果はありません。
アニサキスは胃酸よりも強い酸性環境でも生きていけるほど耐久性が高いため、これらの一般的な調味料では効果がないのです。
シメサバのように酢で締めた魚でも、アニサキスが生きている可能性があります。
加熱や冷凍などの適切な処理が不可欠です。
最後に…
アニサキスは、美味しい魚介類に潜むリスクですが、その生態や予防策を正しく理解することで、不安なく食事を楽しむことができます。
もしアニサキス症が疑われる激しい腹痛や嘔吐などの症状が現れた場合は、迷わず医療機関を受診してください。
内視鏡による治療は、症状を即座に改善する効果が期待できます。
正しい知識と対策を身につけ、安心して美味しい魚介類を堪能しましょう。
何か気になる症状がございましたら、当院にお気軽にご相談下さい。
~~医療法人社団 俊爽会 理事長 小林俊一 日本内科学会 総合内科専門医 日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医~~
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遠方の方やご自宅での下剤服用に不安がある方でも安心して内視鏡検査を受けていただくために、院内にも下剤服用スペースを準備しております。また、内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)の開始時間のご相談にも可能な限り対応させていただいておりますので、ご希望の方はお気軽にご相談ください。
当院は
・JR総武線平井駅北口徒歩4分です。改札を出て正面に看板があります。
北口ロータリーを超えて、3つの横断歩道を超えて、蔵前橋通りに出ます。
蔵前橋通り沿いにある小松川信用金庫本店とタイムズ駐車場の間にある細道を進み、区立平井保育園を超えたところです。
・東あずま駅より徒歩約10分。
東あずま駅を出て、丸八通りを越えて、しばらく直進し、平井橋を渡ります。さらに直進し左手側に自動車整備会社(はい屋モーター株式会社)のある交差点を左折。少し先の諏訪神社を超えてすぐ右折したところです。のぞみ薬局平井店の隣になります。






















