血便
血便とは?
血便とは、便に血液が混じる症状のことを指します。血便は消化管のどこかで出血が起こっているサインであり、原因はさまざまです。血便の色や出血量によって、考えられる疾患の種類が異なります。
血便には、肛門に近い部分からの出血による鮮血(赤い血液)と、消化管の上部(胃や小腸)からの出血による暗赤色や黒色の便(タール便)があります。血便の発生を見逃さず、適切な対処をすることが重要です。
血便の原因
血便の原因は、大きく分けて良性疾患と重篤な疾患に分類されます。
良性の血便の原因
1痔(いぼ痔・切れ痔)
- 排便時に鮮血が出ることが多いです。
- 痛みを伴う場合があります。
- 長時間座る習慣や便秘が影響します。
- 適切な食事管理や生活習慣の改善で予防できます。
2大腸ポリープ
- 良性のポリープでも、出血することがあります。
- 大きくなるとがん化する可能性があるため、定期的な検査が必要です。
- 40歳以上の方は特に定期検診を推奨します。
3感染性腸炎(細菌・ウイルス)
- 腸内の感染が原因で出血が起こることがあります。
- 発熱や腹痛を伴うことが多いです。
- 食中毒や旅行者下痢症として発症することもあります。
4憩室出血
- 便秘や腸管内ガスの多い方は、腸管内圧が上昇し、大腸の壁の弱い部分が外側に突出します。これを大腸憩室と言い、突出した先に血管が走っていた場合、出血する事があります。
- 出血量は多くなることがありますが、絶食や安静により大半は自然止血します。しかし再出血する場合があります。
重篤な血便の原因
1大腸がん
- 初期段階では自覚症状が少ないですが、血便が最初のサインとなることがあります。症状が出る前から定期的な内視鏡検査を受けましょう。
- 血便のほか、便秘と下痢を繰り返す、体重減少などの症状が見られます。
- 便が細くなったり、コロコロした兎の糞のような便、排便後に残便感を感じることがあります。
- 家族歴がある方は定期的な検査が特に重要です。
2炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)
- 慢性的な腸の炎症が原因で出血を伴います。
- 慢性的な下痢、発熱、体重減少などの症状を引き起こします。
- 長期間放置すると大腸がんのリスクが高まることが知られており、定期的な内視鏡検査が必要です。
3虚血性腸炎
- 高齢者に多く、腸の血流が一時的に低下することで腸粘膜が損傷し、出血が発生します。
- 強い腹痛を伴うことが特徴です。
- 脱水や低血圧が影響することもあります。
- 若い方でも重度の便秘があると発症する場合があります。
血便の色と考えられる疾患
血便の色によって、出血している部位を推測することができます。
- 鮮血(赤い血):肛門や直腸(痔、裂肛、大腸ポリープ、大腸がん)
- 暗赤色の血便:大腸や小腸(大腸がん、潰瘍性大腸炎、クローン病)
- 黒色便(タール便):胃や十二指腸(胃潰瘍、胃がん、食道静脈瘤)
血便が出たときにすべきこと
血便が出た場合は、以下の点を確認し、適切に対応することが大切です。
自己チェック項目
- 血便の色(赤・暗赤色・黒色)
- 血便の頻度(1回だけか、繰り返し起こるか)
- その他の症状の有無(腹痛、発熱、体重減少、貧血症状)
- 最近の食生活やストレスの変化
以下のケースではすぐに医療機関を受診しましょう。
- 血便が1週間以上続く、または繰り返す
- 発熱や激しい腹痛を伴う
- 便の色が黒色(タール便)
- 短期間で体重が減少している
- 便が細くなった、または排便後の残便感がある
- 家族に大腸がんの既往歴がある
血便の予防方法
血便を防ぐためには、日常生活の中で以下の点に注意することが重要です。
1バランスの良い食事をとる
- 食物繊維を適度に摂取し、便秘を予防します。
- 発酵食品を取り入れて腸内環境を整えます。
- 過剰なアルコールや刺激物の摂取を控えます。
2適度な運動をする
- 腸の動きを活性化させ、便秘を防ぎます。
- ウォーキングやヨガなどの軽い運動が効果的です。
3ストレスを管理する
- 過敏性腸症候群や炎症性腸疾患の予防につながります。
- 深呼吸やリラックスする時間を意識的に確保します。
4定期的な健康診断を受ける
- 大腸がん検診を受けることで、早期発見が可能になります。
- 40歳以上の方は年に1回の大腸カメラ検査が推奨されます。
最後に
血便の原因はさまざまであり、痔のような良性のものから大腸がんのような重篤な疾患まで含まれます。
当院では、血便の原因を正確に診断するための内視鏡検査を行っております。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
監修:仁愛堂クリニック 院長 小林俊一