血便
見過ごさないで。~大腸内視鏡検査を実施したほうが良い初期症状は?~
血便のサインを読み解く:健康を見つめ直すための詳細ガイド
血便とは?
血便とは、便に血液が混じっている状態を指し、私たちの体から発せられる極めて重要な警告信号です 。
このサインを見過ごすことなく、その色や性質、そして他の症状から原因を正確に探ることが、早期発見と適切な治療への第一歩となります 。
単なる痔だと思い込んで安易に自己判断するのではなく、その背後に潜む可能性のある様々な病気について、深く理解することが不可欠です 。
この異常なサインは、消化管のどこかで出血が起きていることを示しており、放置すれば重篤な事態を招く危険性があるのです 。
血便の分類:色と状態が語るメッセージ
血便は、その出血源によって大きく三つに分類されます。
消化管の上部からの出血は、血液が消化酵素の影響を受けて黒く変色し、まるでコールタールのような黒色便(タール便)となります。
一方、肛門に近い下部消化管からの出血は、鮮やかな赤い血液がそのまま便に混ざる、または便の表面に付着する形で現れます。
血液が消化管を通過する過程で、胃酸や消化酵素の影響を受けることにより、その色が変化するためです 。
この色の違いを理解することは、出血源の位置と緊急性を推定する上で不可欠な第一歩となります。
2暗赤色の血便
暗赤色の便は、鮮血と黒色便の中間に位置し、大腸の中間部や小腸の出血が疑われます 。
血液が腸内で少し時間を経てから排出されるため、この色になります 。
特に赤い血液が便全体に混ざっている場合、大腸の広範囲にわたる炎症や、憩室からの出血、またはがんからの出血である可能性を考慮する必要があります 。
3黒色便(タール便)
タール便は、胃や十二指腸からの出血を示唆する重要なサインです 。
胃酸や消化酵素によって血液中のヘモグロビンが変質し、真っ黒で粘り気のある、独特の強い臭いを放つ便となります 。
この黒色便は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がん、食道静脈瘤など、上部消化管の深刻な病気が原因で起こることが多いです 。
大量の出血を伴うことがあり、放置すると生命に関わる事態に発展する危険性もあります 。
血便の原因:良性から重篤まで
良性の血便の原因
1痔(いぼ痔・切れ痔)
痔は、血便の最も一般的な原因の一つです。排便時のいきみや硬い便が原因で肛門周辺の血管がうっ血し、いぼ痔(内痔核、外痔核)ができたり、肛門の皮膚が切れて裂肛(切れ痔)になったりします 。
出血は鮮血で、排便時に便器を赤く染めることが多いです 。しかし、痔だと思い込んで、実は別の病気を見過ごしているケースも少なくありません 。
・痛みを伴う場合があります。
・長時間座る習慣や便秘が影響します。
・適切な食事管理や生活習慣の改善で予防できます。
2大腸ポリープ
大腸粘膜にできたキノコ状の隆起を大腸ポリープと呼びます 。
良性のポリープであっても、便が通過する際に擦れて出血することがあり、血便の原因となります 。
放置するとがん化する可能性があるため、見つかった場合は内視鏡で切除することが一般的です 。特に、出血を伴うポリープは、より早期の処置が必要とされます。
・大きくなるとがん化する可能性があるため、定期的な検査が必要です。
・40歳以上の方は特に定期検診を推奨します。
2感染性腸炎(細菌・ウイルス)
細菌やウイルスに感染することで腸粘膜に炎症が起こり、出血を伴うことがあります 。
発熱や激しい腹痛、粘液と血液が混ざった下痢を伴うのが特徴です 。
O-157などの病原性大腸菌による感染は、重篤な合併症を引き起こすこともあり、注意が必要です 。
・腸内の感染が原因で出血が起こることがあります。
・食中毒や旅行者下痢症として発症することもあります。
4憩室出血
大腸の壁の一部が外側に突出したものを大腸憩室と呼びます。
ここに走る血管が破れて出血すると、大量の出血を引き起こすことがあります 。
出血は鮮血のことが多く、突然多量の血便が出るのが特徴です 。
安静と絶食で止血することが多いですが、再出血する可能性も高いです 。
重篤な血便の原因
1大腸がん
- 大腸がんは、初期には自覚症状がほとんどなく、血便が最初のサインとなることがあります 。
- がんの表面がもろく、便の通過によって出血しやすくなるためです 。
- 出血量は少量で、肉眼では気づかないことも多く、便潜血検査で初めて陽性となるケースがほとんどです 。
- 血便のほか、便が細くなる、残便感、便秘と下痢の繰り返し、そして貧血や体重減少を伴うこともあります 。
- 特に、肉眼で確認できる血便が続く場合は、すぐに医療機関を受診してください。
2炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)
- 潰瘍性大腸炎やクローン病は、腸に慢性的な炎症と潰瘍を引き起こす自己免疫疾患です 。
- これらの疾患では、粘液と赤い血液が混ざった血便が特徴的で、下痢や腹痛、発熱、体重減少を伴います 。
- 長期間にわたる炎症は、大腸がんのリスクを高めるため、定期的な内視鏡検査と適切な治療の継続が不可欠です。
3虚血性腸炎
- 虚血性腸炎は、大腸への血流が一時的に低下し、腸の粘膜が壊死することで出血や炎症が起こる病気です 。
- 高齢者や動脈硬化のある方に多く見られますが、若年者でも重度の便秘や脱水によって発症する可能性があります 。
- 突然の激しい腹痛の後に血便が出るのが特徴です。
4上部消化管からの出血(胃潰瘍、胃がん)
- 胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、胃酸によって粘膜が傷つき、出血します 。
- この場合、血液は胃酸と混ざって酸化し、黒色のタール便となります 。
- 出血量が多い場合、吐血を伴うこともあります 。胃がんも、進行すると出血を伴い、タール便の原因となることがあります 。タール便が出た場合は、出血が続いている可能性があり、貧血も進行する恐れがあるため、緊急性が高いと考え、迅速な受診が必要です 。
血便が出たときにすべきこと
血便に気づいたら、慌てず冷静に、いくつかのポイントを確認することが重要です 。
自己チェック項目
・便の色と状態: 鮮血、暗赤色、黒色(タール便)のいずれか 。赤い血液が便に混ざっているか、表面に付着しているか、タールのような性状か 。
出血の量と頻度: 少量か、大量か。1回だけか、繰り返し起こるか 。 その他の症状: 腹痛、発熱、体重減少、吐き気、めまい、そして貧血(動悸、息切れ、ふらつき)の症状がないか 。
以下のケースではすぐに医療機関を受診しましょう。
- 血便が1週間以上続く、または繰り返す
- 発熱や激しい腹痛を伴う
- 便の色が黒色(タール便)
- 短期間で体重が減少している
- 便が細くなった、または排便後の残便感がある
- 家族に大腸がんの既往歴がある
血便の予防と生活習慣の改善
1バランスの良い食事をとる
・便秘は、痔や憩室出血、虚血性腸炎のリスクを高める主要な要因です 。
これを防ぐためには、食物繊維を豊富に含む野菜、果物、穀物を積極的に摂り、便通をスムーズに保つことが重要です 。
また、十分な水分補給は便を柔らかくし、排便を楽にします 。
過度なアルコールや香辛料は、腸に負担をかけるため控えめにすることが推奨されます 。
2適度な運動とストレス管理
運動は、腸の動きを活発にし、便秘予防に繋がります 。
ウォーキングやストレッチなど、無理のない範囲で継続することが大切です 。
また、ストレスは自律神経の乱れを通じて、腸の働きに悪影響を与えます 。
リラックスする時間を作り、心身のバランスを保つことも重要です 。
3定期的な健康診断を受ける
血便の最も重要な予防策は、定期的な検査です。特に40歳以上の方は、症状がなくても年に一度の便潜血検査や、数年に一度の内視鏡検査を受けることが推奨されます 。
これにより、症状が出る前のポリープや早期がんを発見し、適切な治療に繋げることができます 。
便潜血検査で一度でも陽性が出た場合は、再検査で陰性になっても放置せず、精密検査として大腸内視鏡検査を必ず受けることが重要です 。
診療と診断だけでなく、血便の予防と再発防止も重要なクリニックの役割です。血便は、食生活や生活習慣と深く関連している病気も多いため、当クリニックでは、診療を通じて得られた情報に基づき、血便の予防と対策のための具体的なアドバイスも行っています 。
最後に
血便は、決して軽視してはならない体のサインです。その色が赤いか、黒色のタール便かによって、出血源の可能性が大きく異なります 。そして、その背後には、痔のような良性疾患から、ポリープや大腸がん、虚血性腸炎、そして貧血を引き起こすような重篤な病気まで、様々な可能性が潜んでいます 。
ご自身の健康を守るために、血便に気づいた際は、その状態を冷静に観察し、放置することなく、専門の医療機関を受診するという適切な流れを取ることが最も重要です 。
早期診療が、病気の進行を防ぎ、治癒の可能性を高めます 。
気になる症状がある方は、当院にお気軽にご相談ください。
~~監修 医療法人社団 俊爽会 理事長 小林俊一 日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医~~
仁愛堂クリニックでは地元の江戸川区平井、江戸川区小松川、墨田区立花、墨田区文花、墨田区墨田、はもちろんですが、JR総武線の近隣駅である亀戸、錦糸町、両国、浅草橋、秋葉原、新小岩、小岩、千葉県の市川、本八幡、西船橋、船橋、津田沼、東武亀戸線の東あずま、亀戸水神、小村井、曳舟、東京メトロ半蔵門線押上、住吉、東武スカイツリーライン、東向島、鐘ヶ淵、からも診察や内視鏡(胃カメラ・大腸カメラ)受診目的でご来院していただいております。また、江東区大島、東大島、西大島、墨田区江東橋、墨田区業平、墨田区横川などからの患者様もいらっしゃいます。
遠方の方やご自宅での下剤服用に不安がある方でも安心して内視鏡検査を受けていただくために、院内にも下剤服用スペースを準備しております。また、内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)の開始時間のご相談にも可能な限り対応させていただいておりますので、ご希望の方はお気軽にご相談ください。
当院は
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北口ロータリーを超えて、3つの横断歩道を超えて、蔵前橋通りに出ます。
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・東あずま駅より徒歩約10分。
東あずま駅を出て、丸八通りを越えて、しばらく直進し、平井橋を渡ります。さらに直進し左手側に自動車整備会社(はい屋モーター株式会社)のある交差点を左折。少し先の諏訪神社を超えてすぐ右折したところです。のぞみ薬局平井店の隣になります。