便潜血検査で「陽性」と言われたあなたへ
知っておきたい正しい知識と次のステップ
健康診断の結果を受け取った時、「便潜血検査陽性」という見慣れない文字を見て、ドキッとされた方もいらっしゃるかもしれません。
特に、これといった自覚症状がない場合、
「どういうことだろう?」
「何か重大な病気なのだろうか?」
と、漠然とした不安を感じるのは自然なことです。
こちらの記事では、便潜血陽性という結果が示す意味から、その後に取るべき行動まで、皆さんの疑問を一つひとつ丁寧に解説いたします。
「便潜血陽性」とは?
便潜血検査とは、その名の通り、
便の中に目には見えないほどごくわずかな血液が混じっていないかを検出する検査です。
この検査は、主に大腸がんやポリープといった、腸からの出血を早期発見することを目的としたスクリーニング検査として用いられます。
重要なのは、「便潜血陽性」という結果は、「大腸がんの可能性がある」という兆候(サイン)であって、「がんである」と確定するものではないということです。
多くの方が「陽性=がん」と誤解してしまいがちですが、決してそうではありません。
しかし、このサインを無視して放置すると、病気が進行してしまう可能性があるため、次のステップへ進むことが非常に大切なのです。
「便潜血陽性」を引き起こす主な疾患
便潜血が陽性となる原因は一つではありません。
大腸からの出血であれば、さまざまな病気が考えられます。
代表的なものとして、主に以下の4つが挙げられます。
①大腸がん:大腸の粘膜にできる悪性の腫瘍です。
がんの表面は傷つきやすく、便が通過する際にこすれることで、わずかながら出血することがあります。
初期の大腸がんは自覚症状がほとんどないことが多いため、潜血検査が唯一の発見のきっかけになることもあります。
②大腸ポリープ:大腸の粘膜にできる良性のイボのようなできものです。
大腸ポリープの中でも腺腫(せんしゅ)と呼ばれるものは、放置すると将来的にがん化するリスクがあるため、切除が推奨されます。
大腸ポリープも、便がこすれることで出血し、陽性の原因となることがあります。
③潰瘍性大腸炎やクローン病:これらは、大腸の粘膜に炎症や潰瘍が生じる病気です。
炎症が起こった部分から血液が混じることがあるため、便潜血検査で陽性となる原因の一つです。
④痔(じ):痔は、便潜血検査で陽性となる最も身近な原因の一つです。
大腸からの出血ではなく、肛門付近の出血であっても陽性反応が出ます。
しかし、「自分は痔があるから陽性になったのだろう」と自己判断して精密検査を放置することは、非常に危険です。
痔の出血があるからといって、大腸に別の病変がないとは言い切れないからです。
痔の出血の場合、便に血液が付着していることや、血便、腹痛を伴う場合もあります。
「陽性」でも再検査は意味がない?
「陽性だったけど、忙しいし、もう一度検査して陰性だったら大丈夫だろうか?」
このように考える人は少なくありません。
しかし、潜血検査の再検査は意味がありません。
その理由は、大腸からの出血は常に起こっているわけではないからです。
仮に初期のがんやポリープがあったとしても、出血は一時的で、排便の度に起こるとは限りません。
そのため、再検査でたまたま出血のないタイミングで採便してしまい、陰性と出てしまう可能性が十分にあります。
結果が陰性だったとしても、最初の陽性という事実は変わらないのです。
大切なのは、自己判断で放置せず、一刻も早く精密検査を受けることです。
便潜血陽性のまま10ヶ月以上放置すると、大腸がんのリスクや病状のステージが悪化したという報告もあります。
結果を前向きに受け止め、ご自身の健康を守るための行動に繋げることが何よりも重要です。
「精密検査」とは、どんなことをするの?
便潜血検査で陽性となった場合に、唯一、病変の有無を確定診断できるのが大腸内視鏡検査(大腸カメラ)です。
この内視鏡検査では、肛門から細い内視鏡を挿入し、大腸の奥まで直接カメラで観察します。
患者様は、鎮静剤を使用することで、痛みや不快感を感じることなく検査を受けることができます。
検査中にポリープや出血の原因が見つかれば、その場で組織を採取したり、ポリープを切除したりすることが可能です。
どのような検査が必要で、何を調べる?
便潜血陽性の場合、精密検査としてまず大腸内視鏡検査を行います。
この検査では、大腸全体の粘膜をくまなく観察し、出血の原因となっている病変がないかを詳細に調べます。
最新のAI内視鏡を使用し、目視で直接確認できるため、小さな病変も見逃しにくく、非常に精度の高い検査と言えます。
当院に在籍する医師は多くの実績を積んだ内視鏡専門医です。
大腸内視鏡検査と同時に、胃内視鏡検査を受けることも可能で、ピロリ菌の検査も実施しております。
どのような診断と治療が行われるの?
検査中に病変が見つかった場合は、その組織を一部採取する生検(せいけん)を行い、良性か悪性かを詳しく調べます。
ポリープが見つかった場合は、その場で切除することも可能です。
これにより、がん化するリスクを未然に防ぎ、患者様の心身の負担も軽減できます。
当院では、患者様の状態や不安に寄り添いながら、検査から診断、治療方針の決定まで一貫してサポートさせていただきます。
「便潜血陽性」を和らげるために自分でできる対処法は?
便潜血陽性の結果が出た後、精密検査までの間に「何かできることはないか」と考える人もいらっしゃるでしょう。
精密検査までの期間を少しでも安心して過ごしていただくために、ご自身でできる対処法についてお伝えします。
◎まずは冷静に、正しい知識を持つこと◎
繰り返しになりますが、「便潜血陽性=がん」ではありません。
不安な気持ちを抱え込まず、まずはこの記事を通じて正しい情報を得ていただくことが第一歩です。
ご家族やご友人にもぜひ情報を共有し、一緒にお話しされてみてください。
◎精密検査の準備を整えること◎
精密検査をスムーズに受けるため、便の採取方法や保存方法を改めて確認しましょう。
便は、容器を便器の水に触れないように採取し、採取後は冷暗所で保管することが大切です。
また、女性の方は生理中の採便は避けてください。
◎食事や生活習慣を整えること◎
便通を整えるために、食物繊維を多く含む野菜やきのこ、海藻などを積極的に摂ったり、適度な運動や水分補給を心がけたりするのも良いことです。
下痢や便秘に悩むことが多い方も、改善を目指すことで体調を整えやすくなります。
しかし、これらの生活習慣はあくまでも健康維持のための予防であり、精密検査の代わりにはなりません。
必ず専門医の診察を受け、適切な検査を行うことが重要です。
最後に…当クリニックからのお願い
大腸がんは、早期発見すればほとんどの場合、根治が期待できる病気です。
しかし、そのためには検診を受け、陽性だった場合には精密検査に繋げることが不可欠です。
東京都江戸川区では、全国や東京都と比較してがんによる死亡率が高い状況にあります。
その背景には、がん検診の受診率が極めて低いという深刻な現状があるのです。
最新のデータでは、大腸がん検診の受診率は9.2%とわずかに上昇しているものの、依然として低い水準にあります。
便潜血検査で「陽性」という結果が出たことは、この現状を変えることができる、あなた自身とご家族の健康を守るための貴重なチャンスなのです。
私たち仁愛堂クリニックは、地域の皆様の健康増進に貢献したいと願っています。
病気や症状についてだけでなく、生活習慣に関するちょっとした疑問や不安についても、どうぞお気軽にご相談ください。
当院は紹介状がなくても受診できます。胃内視鏡検査(胃カメラ)や大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を実施しており、逆流性食道炎の有効な治療も行っています。
お早めのご相談をお待ちしております。
~~監修 医療法人社団 俊爽会 理事長 小林俊一 日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医~~
仁愛堂クリニックでは地元の江戸川区平井、江戸川区小松川、墨田区立花、墨田区文花、墨田区墨田、はもちろんですが、JR総武線の近隣駅である亀戸、錦糸町、両国、浅草橋、秋葉原、新小岩、小岩、千葉県の市川、本八幡、西船橋、船橋、津田沼、東武亀戸線の東あずま、亀戸水神、小村井、曳舟、東京メトロ半蔵門線押上、住吉、東武スカイツリーライン、東向島、鐘ヶ淵、からも診察や内視鏡(胃カメラ・大腸カメラ)受診目的でご来院していただいております。また、江東区大島、東大島、西大島、墨田区江東橋、墨田区業平、墨田区横川などからの患者様もいらっしゃいます。
遠方の方やご自宅での下剤服用に不安がある方でも安心して内視鏡検査を受けていただくために、院内にも下剤服用スペースを準備しております。また、内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)の開始時間のご相談にも可能な限り対応させていただいておりますので、ご希望の方はお気軽にご相談ください。
当院は
・JR総武線平井駅北口徒歩4分です。改札を出て正面に看板があります。
北口ロータリーを超えて、3つの横断歩道を超えて、蔵前橋通りに出ます。
蔵前橋通り沿いにある小松川信用金庫本店とタイムズ駐車場の間にある細道を進み、区立平井保育園を超えたところです。
・東あずま駅より徒歩約10分。
東あずま駅を出て、丸八通りを越えて、しばらく直進し、平井橋を渡ります。さらに直進し左手側に自動車整備会社(はい屋モーター株式会社)のある交差点を左折。少し先の諏訪神社を超えてすぐ右折したところです。のぞみ薬局平井店の隣になります。