40代男性の活動期胃潰瘍・鎮静剤を用いた苦しくない内視鏡検査事例
「胃痛を市販薬で我慢していませんか?
症例:仕事のストレスと放置が招いた「活動期胃潰瘍」
40代男性:市販薬での対症療法により悪化・進行したケース
【患者様情報】
● 来院のきっかけ:数週間前から持続するみぞおちの鈍痛、および夜間から早朝にかけての激しい腹部の差し込み痛を主訴に受診されました。市販の胃薬を常用していましたが症状が改善せず、仕事に支障をきたすようになったため、精密検査を求めて当院を選ばれました。
● 主訴および身体的状況:主な症状は、空腹時のシクシクとした腹部痛みと食後の腹部膨満感。受診当日は痛みの増強に加え、わずかな吐き気も認められました。便の色に大きな変化(胃からの出血が疑われる黒色便など)はないものの、腹部の長引く痛みにより食欲が低下し、全身の倦怠感を伴っています。
● 生活背景・既往歴:IT関連企業の管理職であり、慢性的な過労と精神的ストレス下にあります。1日のコーヒー摂取量が5杯以上と多く、喫煙習慣もあり(1日1箱)。過去の内視鏡検査において、強い喉の違和感と嘔吐反射を経験されており、検査に対して強い抵抗感と恐怖心を持っておられます。
● 検査に対する意向: 「とにかく痛みの原因を特定したい」という強い希望がある一方で、以前のトラウマから「二度とあの苦しい検査はしたくない」と訴えられました。そのため、当院の鎮静剤を使用した「眠った状態での内視鏡検査」の安全性と利便性を説明し、同意を得て実施することとなりました。
【医師の視点】専門的診断と治療のアプローチ
1. 初診時の臨床推論とスクリーニング
患者様が診察室に入られた際、まず目を引いたのは顔色の悪さと、無意識にみぞおちを庇うような前屈みの姿勢でした。
詳細な問診を行うと、「空腹時の痛み」と「市販薬による一時的な寛解」を繰り返しており、これは十二指腸潰瘍や胃潰瘍などの消化性潰瘍に典型的なパターンです。
しかし、懸念すべきは「夜間の激痛」です。これは胃酸の分泌が過剰になり、防御機能が破綻した粘膜を直接攻撃している証拠であり、放置すれば穿孔(胃に穴が開く)や、近くを通る太い血管を侵食しての大出血(吐血・下血)を招く危険な状態であると推測しました。
患者様の「内視鏡検査への強い拒否感」を払拭するため、当院の鎮静剤を使用した苦しくない内視鏡検査について、心拍や動脈血酸素飽和度モニターを用いた安全性を含めて詳しくご説明し、即日内視鏡検査を実施する運びとなりました。
2. 内視鏡検査による精密な評価と技術的所見
検査は、鎮静剤を投与し、患者様が完全にリラックスした状態で開始しました。
これにより、反射による胃の動きを抑えることができ、死角になりやすい部位までミリ単位での詳細な観察が可能になります。
周囲の粘膜が赤く盛り上がり、浮腫(むくみ)を伴っている様子がわかるものだと、炎症の深さが視覚的に伝わります。
● 病変の局在とステージング: 胃角部(胃が折れ曲がる部分)の小彎側に、直径約12mmの深い潰瘍を認めました。
潰瘍の底には「白苔(はくたい)」と呼ばれる再生組織の元となる白い苔が付着しており、周囲には強い「発赤(赤み)」と「浮腫(むくみ)」を伴っていました。
これは内視鏡的病期分類における「活動期(Active stage 1)」であり、まさに今、組織が破壊され続けている状態です。
● 血管露出の評価:最新のFICE(狭帯域光観察)を用いて、潰瘍底の血管状態を拡大観察しました。
もしここに、拍動を伴う血管や赤い隆起(露出血管)が見られれば、数時間以内に大出血を起こすリスクがあるため、クリップ等による内視鏡的止血術が必要になります。
今回の症例では、幸いにも活動性の出血点は認められませんでしたが、粘膜の断裂が筋層近くまで及んでおり、一歩遅ければ穿孔に至るリスクがあったことを確認しました。
● 背景胃粘膜とピロリ菌: 周囲の粘膜には、ピロリ菌感染特有の「びまん性発赤」と「萎縮」を認めました。
患者様のご年齢やライフスタイルを考慮しても、ピロリ菌感染による粘膜の防御力の低下が、過度なストレスやコーヒー摂取による攻撃因子に耐えきれなくなった直接的な原因であると診断しました。
3. 治療戦略と再発防止のロードマップ
診断後、ただちに以下の包括的治療プログラムを開始しました。
● 強力な胃酸抑制療法(P-CABの導入): 従来の薬よりも効果が出るまでの時間が早く、強力に酸を抑える「タケキャブ」等のP-CABを第一選択としました。これにより、投与初日から胃内のpHを急速に上昇させ、潰瘍部位を酸の攻撃から保護し、自己修復を促進させます。
● ピロリ菌除菌の計画的実施: 潰瘍が「治癒期(Scar stage)」に移行したタイミングで、ピロリ菌の確定診断を経て除菌治療を開始します。除菌に成功すれば、胃潰瘍の再発率は10%以下にまで低下します。
● 生活環境への医学的介入:お仕事の忙しさは変えられなくても、食事の摂り方(早食いの防止、胃を空っぽにしすぎない工夫)や、カフェイン・アルコールの摂取制限について、データに基づいた指導を行いました。
医師からのメッセージ
胃潰瘍は「ただの腹痛」ではありません。
一歩間違えば命に関わる緊急事態を招くこともある病気です。
しかし、内視鏡で正しく診断し、適切な最新薬を使用すれば、メスを入れずに治すことが可能です。
今回は生検の結果は良性でした。
場合によっては、がんである可能性もあるため、症状が2週間以上続く方は早めの検査をおすすめします。
「忙しいから」「検査が辛いから」と市販薬で痛みを抑えている方。
その間に、胃の粘膜は限界を迎えているかもしれません。仁愛堂クリニックでは、あなたの「怖い」という気持ちを否定せず、鎮静剤を用いて最大限に寄り添った内視鏡検査を提供します。
痛みを我慢する日々を終わらせ、再び美味しく食事ができる健康を取り戻しましょう。
どうぞお気軽にお電話、または当クリニックのホームページからお問い合わせ・ご予約ください。
~~監修 医療法人社団 俊爽会 理事長 小林俊一 日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医~~
仁愛堂クリニックでは地元の江戸川区平井、江戸川区小松川、墨田区立花、墨田区文花、墨田区墨田、はもちろんですが、JR総武線の近隣駅である亀戸、錦糸町、両国、浅草橋、秋葉原、新小岩、小岩、千葉県の市川、本八幡、西船橋、船橋、津田沼、東武亀戸線の東あずま、亀戸水神、小村井、曳舟、東京メトロ半蔵門線押上、住吉、東武スカイツリーライン、東向島、鐘ヶ淵、からも診察や内視鏡(胃カメラ・大腸カメラ)受診目的でご来院していただいております。また、江東区大島、東大島、西大島、墨田区江東橋、墨田区業平、墨田区横川などからの患者様もいらっしゃいます。
遠方の方やご自宅での下剤服用に不安がある方でも安心して内視鏡検査を受けていただくために、院内にも下剤服用スペースを準備しております。また、内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)の開始時間のご相談にも可能な限り対応させていただいておりますので、ご希望の方はお気軽にご相談ください。
当院は
・JR総武線平井駅北口徒歩4分です。改札を出て正面に看板があります。
北口ロータリーを超えて、3つの横断歩道を超えて、蔵前橋通りに出ます。
蔵前橋通り沿いにある小松川信用金庫本店とタイムズ駐車場の間にある細道を進み、区立平井保育園を超えたところです。
・東あずま駅より徒歩約10分。
東あずま駅を出て、丸八通りを越えて、しばらく直進し、平井橋を渡ります。さらに直進し左手側に自動車整備会社(はい屋モーター株式会社)のある交差点を左折。少し先の諏訪神社を超えてすぐ右折したところです。のぞみ薬局平井店の隣になります。






















