長引く胸やけと喉の違和感「逆流性食道炎」
長引く胸やけ・喉の違和感|麻酔アレルギーを考慮した鎮静下胃カメラで逆流性食道炎を特定
症例:健診のバリウム検査で指摘された「胃ポリープ」
50代女性:自覚症状のない「要精密検査」に対する不安と経緯
【患者様情報】
●来院のきっかけ:約1ヶ月前から、就寝時の激しい胸やけと、起床時に口の中が苦くなる「呑酸(どんさん)」症状を自覚。市販薬で様子を見ていたが、食事中のつかえ感や喉のイガイガ感が解消されないため、精密検査を希望し来院されました。
●過去の内視鏡歴と受診遅延の理由
内視鏡検査は3年前に一度経験があり、その際は「異常なし」との診断を受けていました。その安心感から、今回症状が出始めてからも「数年前は大丈夫だったから、今回も一時的な胃荒れだろう」と自己判断し、受診が先延ばしになっていました
● 主訴および身体的状況
主な症状は胸骨裏の焼けるような痛み。特に、夕食から就寝までの時間が短い日に症状が強く現れます。また、前屈みの姿勢をとった際に胃液が逆流する感覚があり、慢性的な咽頭部の不快感も続いているとのことです。
● 重要な安全管理情報(アレルギー)
3年前の検査時、喉のスプレー麻酔(局所麻酔薬)を使用した直後に、急激な息苦しさと動悸を経験されています。このエピソードから「キシロカイン(リドカイン)アレルギー」の疑いが極めて強く、一般的な喉麻酔を伴う検査に対して強い恐怖心と身体的リスクを抱えておられます。
● 検査に対する意向
アレルギーが怖いけれど、喉の違和感の原因をはっきりさせたい」という葛藤の中にありました。当院では「局所麻酔薬を一切使用せず、静脈からの鎮静剤のみで眠っている間に経口内視鏡を行う」という手法を提案し、安全性を十分に納得された上で検査を承諾されました。
【医師の視点】専門的診断と治療のアプローチ
1. 初診時の臨床推論とスクリーニング
患者様が抱えられている「胸やけ」や「呑酸」という訴えは、胃酸が食道へ逆流する逆流性食道炎(GERD)の典型的な症状です。しかし、今回注目すべきは「3年前に異常がなかった」という点と、現在「喉のつかえ感」を伴っている点です。
3年という月日は、消化管の構造的変化には十分な時間です。
体重の増減や食習慣の変化、加齢による横隔膜の緩みが進行していれば、かつて正常だった粘膜も激しい炎症に晒されている可能性があります。また、喉の違和感は、逆流した酸が直接喉を焼く「咽喉頭逆流症」だけでなく、食道がんなどの重大な疾患が原因で起こることもあります。
さらに本症例において最も重要なのが、キシロカイン(局所麻酔薬)アレルギー疑いへの対応です。
通常の喉スプレーは使用できないため、当院では静脈麻酔による「完全鎮静下」での検査を選択しました。これにより、喉の麻酔薬による窒息感やアレルギーショックを回避しつつ、経口からでも反射を抑えた精密な観察が可能になります。患者様の心拍や動脈血酸素飽和度をリアルタイムで監視する安全管理体制のもと、即日内視鏡検査を実施する運びとなりました。
2. 内視鏡検査による精密な評価と技術的所見
検査は鎮静剤を投与し、患者様が深いリラックス状態にあることを確認してから開始しました。反射による食道の揺れが完全に抑えられているため、食道と胃の境界部という、わずか数ミリの病変も見逃しやすい部位を詳細に観察できました。
●病変の局在とステージング
食道と胃の合流点(SCJ)において、粘膜のひだに沿って5mmを超える縦走性の粘膜欠損(びらん)を数本認めました。これは内視鏡的病期分類における「ロサンゼルス分類グレードB」に該当します。3年前の「異常なし」という結果から、現在は明らかに積極的な治療を要する状態まで病状が進行していることを確認しました。
●構造的要因の特定
胃の中から食道を振り返る「反転操作」を行ったところ、食道裂孔(横隔膜の穴)が緩み、胃の一部が胸郭側に滑り出している「食道裂孔ヘルニア」を認めました。この構造的な緩みが、胃酸の逆流を許容する物理的な原因となっていました。
●拡大観察と癌化リスクの評価
最新の画像強調観察(FICE)を用いて、食道の粘膜が変質する「バレット食道」の有無を精査しました。慢性的な炎症は食道がんのリスクを高めるため、微細血管網の乱れがないかを観察しましたが、現時点では異型(がん化の兆候)は見られず、一安心できる結果でした。
3. 治療戦略と再発防止のロードマップ
診断確定後、ただちに以下の包括的治療プログラムを開始しました。
●強力な胃酸抑制療法(P-CABの導入)
従来の薬よりも立ち上がりが早く、強力に酸を抑える「タケキャブ」(P-CAB)を第一選択としました。これにより、投与初日から胃酸による食道粘膜への攻撃をストップさせ、喉のつかえ感や胸やけを速やかに緩和させます。
●生活環境への医学的介入
構造的な「緩み(ヘルニア)」がある以上、薬だけに頼るのは不十分です。食後2時間は横にならないことや、就寝時に上半身をわずかに高くする工夫、腹圧をかける衣服を避けることなど、物理的な逆流防止策についてデータに基づいた指導を行いました。
●アレルギー情報の共有
今回のキシロカイン不使用下での安全な検査成功を受け、患者様には今後の歯科治療等でも自身の薬剤アレルギーリスクを正確に伝えられるよう、お薬手帳への記載と情報の整理をサポートしました。
医師からのメッセージ
逆流性食道炎は、繰り返すとバレット食道になり、食道がんのリスクが高まります。単なる「胸やけ」ではありません。喉の違和感や不眠を招き、生活の質を著しく低下させる病気です。しかし、内視鏡で正しく原因を突き止めれば、適切な最新薬と生活の工夫で必ず改善します。
今回は生検の結果も良性でしたが、長引く炎症の陰にがんが隠れていることもあります。症状が続く方は早めの検査をおすすめします。
「過去が大丈夫だったから」「麻酔が怖いから」と一人で抱え込んでいる方。その不安が、かえって病気を進行させているかもしれません。仁愛堂クリニックでは、薬剤アレルギーや過去のトラウマを抱える方にも寄り添い、鎮静剤を用いて最大限に配慮した内視鏡検査を提供します。つかえ感のない、爽快な毎日を一緒に取り戻しましょう。
どうぞお気軽にお電話、または当クリニックのホームページからお問い合わせ・ご予約ください。
~~監修 医療法人社団 俊爽会 理事長 小林俊一 日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医~~
仁愛堂クリニックでは地元の江戸川区平井、江戸川区小松川、墨田区立花、墨田区文花、墨田区墨田、はもちろんですが、JR総武線の近隣駅である亀戸、錦糸町、両国、浅草橋、秋葉原、新小岩、小岩、千葉県の市川、本八幡、西船橋、船橋、津田沼、東武亀戸線の東あずま、亀戸水神、小村井、曳舟、東京メトロ半蔵門線押上、住吉、東武スカイツリーライン、東向島、鐘ヶ淵、からも診察や内視鏡(胃カメラ・大腸カメラ)受診目的でご来院していただいております。また、江東区大島、東大島、西大島、墨田区江東橋、墨田区業平、墨田区横川などからの患者様もいらっしゃいます。
遠方の方やご自宅での下剤服用に不安がある方でも安心して内視鏡検査を受けていただくために、院内にも下剤服用スペースを準備しております。また、内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)の開始時間のご相談にも可能な限り対応させていただいておりますので、ご希望の方はお気軽にご相談ください。
当院は
・JR総武線平井駅北口徒歩4分です。改札を出て正面に看板があります。
北口ロータリーを超えて、3つの横断歩道を超えて、蔵前橋通りに出ます。
蔵前橋通り沿いにある小松川信用金庫本店とタイムズ駐車場の間にある細道を進み、区立平井保育園を超えたところです。
・東あずま駅より徒歩約10分。
東あずま駅を出て、丸八通りを越えて、しばらく直進し、平井橋を渡ります。さらに直進し左手側に自動車整備会社(はい屋モーター株式会社)のある交差点を左折。少し先の諏訪神社を超えてすぐ右折したところです。のぞみ薬局平井店の隣になります。






















