ストレスと決めつけず最新内視鏡で潰瘍性大腸炎の早期診断を
症例:繰り返す下痢と血便から判明した「潰瘍性大腸炎」
20代男性:腹痛を「過敏性腸症候群」と思い込み、悪化を招いたケース
【患者様情報】
● 来院のきっかけ:3ヶ月ほど前から、1日に3〜5回の下痢を繰り返すようになり、徐々に便に血液が混じる(血便)ようになったため、受診されました。当初は「仕事のストレスによる過敏性腸症候群だろう」と自己判断し市販薬で様子を見ていましたが、腹痛が強まり、残便感(しぶり腹)も顕著になったため来院に至りました。
● 主訴および身体的状況: 主な症状は下腹部の鈍痛と粘血便(粘膜と血が混ざったような便)。受診時は軽い発熱を伴い、頻繁な便意により睡眠不足と全身の倦怠感を訴えられていました。体重もここ1ヶ月で2kg減少しており、栄養吸収の低下が疑われる状態です。
● 生活背景・既往歴: 新卒採用から2年目の会社員で、残業が多く不規則な食生活が続いています。特筆すべき重大な既往歴はありませんが、以前から胃腸が弱く、市販の止瀉薬を常用する傾向がありました。内視鏡検査は未経験で、肛門付近の出血があることから、検査に対する羞恥心と恐怖心を強く抱かれています。
● 検査に対する意向: 「原因をはっきりさせて、普通の生活に戻りたい」という強い希望がある一方、炎症がある状態での下剤服用やカメラの挿入による痛みを非常に恐れられていました。そのため、当院の鎮静剤を使用した「眠った状態での大腸カメラ」の利便性と、炎症部位に配慮した丁寧な操作について説明し、同意を得て実施することとなりました。
【医師の視点】専門的診断と治療のアプローチ
1. 初診時の臨床推論:単なる「ストレス」か、それとも「炎症性腸疾患」か
患者様が訴えられた「血便」と「粘血便」というキーワードは、我々消化器専門医にとって非常に重要なアラートです。
過敏性腸症候群では血便を伴うことは通常なく、
血が混じる症状は炎症性腸疾患などの器質的疾患を疑う重要なサインです。
特に20代という若年層で、慢性的な下痢に血が混じる場合、最も優先的に鑑別すべきは、指定難病である潰瘍性大腸炎(UC)です。
多くの患者様は、お腹の不調を「ストレス」や「痔」のせいだと考えがちです。しかし、潰瘍性大腸炎は免疫異常によって大腸の粘膜が自分自身を攻撃し、炎症や潰瘍を引き起こす病気であり、放置すれば腸に穴が開いたり(穿孔)、将来的に大腸がんのリスクを高めたりすることもあります。 患者様は羞恥心や恐怖心から検査を躊躇されていましたが、「正確な診断こそが、長く続く腹痛から解放される唯一の道です」と丁寧にお伝えしました。当院では、炎症がある敏感な腸管に対しても、送気量を調節し、鎮静剤を用いて苦痛を最小限に抑えた精密検査を計画しました。
2. 内視鏡検査による精密な評価と技術的所見
● 精密観察(拡大内視鏡・画像強調観察)
当院では、通常観察に加えて拡大内視鏡および画像強調観察(FICE)を併用し、
粘膜表面の微細構造や血管の状態まで詳細に評価しています。
これにより、炎症の活動性や広がりをより正確に把握し、
診断精度の向上と適切な治療方針の決定につなげています。
これにより、通常観察では捉えにくい微細な炎症変化も評価することが可能となります。
検査は、患者様が深いリラックス状態にあることを確認してから開始しました。 潰瘍性大腸炎は直腸から連続的に炎症が広がる特徴があるため、肛門付近から奥へと慎重に観察を進めました。
● 病変の範囲と重症度判定: 直腸から下行結腸にかけて、広範かつ連続的な粘膜の浮腫(むくみ)と発赤を認めました。血管透見像は消失しており、接触性出血(スコープが触れるだけで出血する状態)も確認されました。 内視鏡的重症度分類(Mayo score)では中等症に相当する所見を認め、臨床症状と合わせて活動期と判断しました。
● 他疾患との鑑別(生検の実施): 潰瘍性大腸炎と似た症状を示す「感染性腸炎」や「クローン病」と確実に区別するため、複数の部位から組織を採取(生検)しました。 顕微鏡検査(病理診断)において、クリプトアブセス(隠窩膿瘍)と呼ばれるこの疾患特有の所見を確認し、確定診断に至りました。
● 背景の観察と合併症チェック: 全大腸を観察し、将来の癌化に繋がるような異型粘膜や、偽ポリポーシス(激しい炎症の跡にできる突起)の有無も詳細にチェックしました。最新の画像強調観察(FICE)を用いることで、炎症の範囲や活動性をより鮮明に評価しました。
3. 治療戦略と再発防止のロードマップ:寛解導入と維持
潰瘍性大腸炎の治療目標は、今ある症状を抑える「寛解導入」と、その状態を長く維持する「寛解維持」の2段階に分かれます。
● 基本治療(5-ASA製剤)の開始: まずは大腸の炎症を直接抑える「5-ASA製剤(メサラジン等)」の服用を開始しました。 患者様の病変が直腸近くに強く認められたため、飲み薬に加えて、より局所に直接届く「坐剤(座薬)」や「注腸剤」を併用するハイブリッド治療を提案しました。
● 計画的なモニタリング: この病気は良くなったり悪くなったりを繰り返す「再燃」が特徴です。 血液検査(CRP値等)や便中カルプロテクチン検査を定期的に行い、炎症のくすぶりを早期にキャッチする体制を整えました。
● 生活習慣と心のケア: 食事については、活動期には低残渣・低脂質の工夫が必要ですが、寛解期には過度な制限は不要であることを説明しました。 指定難病であることへの心理的不安に対し、「コントロールさえできれば、就職も結婚もスポーツも、何も諦める必要はありません」と前向きなアドバイスを行いました。
医師からのメッセージ
「ずっと下痢が続いている」「便に血が混じった」――これは決して放置してはいけないサインです。潰瘍性大腸炎は適切な治療さえ始めれば、多くの方が健常時と変わらない生活を取り戻すことができます。 今回は生検の結果、早期の介入ができたため、重症化を防ぐことができました。がん化のリスクを抑えるためにも、症状が落ち着いた後も定期的な内視鏡検査は不可欠です。 「お腹の悩みは相談しにくい」と感じている方。仁愛堂クリニックでは、あなたの「怖い」「恥ずかしい」という気持ちを尊重し、最新の知見と鎮静剤による優しい内視鏡検査で全力でサポートします。 一人で悩まず、私たちと一緒に健康な日常を取り戻しましょう。
どうぞお気軽にお電話、または当クリニックのホームページからお問い合わせ・ご予約ください。
~~監修 医療法人社団 俊爽会 理事長 小林俊一 日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医~~
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遠方の方やご自宅での下剤服用に不安がある方でも安心して内視鏡検査を受けていただくために、院内にも下剤服用スペースを準備しております。また、内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)の開始時間のご相談にも可能な限り対応させていただいておりますので、ご希望の方はお気軽にご相談ください。
当院は
・JR総武線平井駅北口徒歩4分です。改札を出て正面に看板があります。
北口ロータリーを超えて、3つの横断歩道を超えて、蔵前橋通りに出ます。
蔵前橋通り沿いにある小松川信用金庫本店とタイムズ駐車場の間にある細道を進み、区立平井保育園を超えたところです。
・東あずま駅より徒歩約10分。
東あずま駅を出て、丸八通りを越えて、しばらく直進し、平井橋を渡ります。さらに直進し左手側に自動車整備会社(はい屋モーター株式会社)のある交差点を左折。少し先の諏訪神社を超えてすぐ右折したところです。のぞみ薬局平井店の隣になります。






















