胃痛
胃痛とは?症状の特徴と考えられる原因
胃痛とは、みぞおちや胃のあたりに痛みや不快感を感じる症状のことを指します。
痛みの程度や持続時間、発症のタイミングによって、さまざまな病気や原因が考えられます。
主な原因としては、以下のようなものがあります。
- 消化器系の疾患(逆流性食道炎、胃・十二指腸潰瘍、機能性ディスペプシア、急性膵炎、胆石発作など)
- ストレスや精神的要因(自律神経の乱れ、胃の過敏症)
- 食生活の乱れ(暴飲暴食、刺激物の摂取、空腹時間が長すぎる)
- 薬の副作用(鎮痛剤や抗生物質など)
- ピロリ菌感染(慢性的な胃炎や胃潰瘍の原因)
- 急性心疾患(心筋梗塞や狭心症など)
- 感染症(アニサキス症やノロウイルスなど)
胃痛を引き起こす主な疾患
胃痛の背後には、以下のような疾患が隠れていることがあります。
逆流性食道炎
胃酸が食道に逆流し、胸焼けや胃痛を引き起こします。食後や横になった際に痛みを感じることが多いのが特徴です。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
胃の粘膜が胃酸によって傷つき、慢性的な痛みが続きます。特に空腹時に痛みを感じることが多く、進行すると出血を伴うこともあります。
機能性ディスペプシア(ストレス性胃痛)
胃の検査をしても異常が見つからないにも関わらず、胃の痛みや不快感が続く状態です。ストレスが大きく関与しており、現代病の一つとされています。
胃がん・大腸がん
慢性的な胃痛が続く場合、胃がん、大腸がんの可能性も考えられます。特に、体重減少や食欲不振、貧血を伴う場合は早めの検査が必要です。
心筋梗塞・狭心症
心筋梗塞の中でも右壁梗塞は、上腹部痛を引き起こす事があります。5分以上持続する痛みは、運動などによって誘発する痛み、冷や汗を伴う痛みは心筋梗塞や狭心症の可能性もあります。
胆石発作
胆嚢には脂肪の消化を助ける胆汁液が蓄えられています。脂肪分を摂取した時に胆嚢が収縮し、胆汁液が流れ、膵液と混ざって脂肪の分解と吸収が促進されます。胆嚢内に胆石が出来ると、胆汁の流れと同じように、脂肪を摂取した時に胆石が動き、狭い部分で詰まった時に右季肋部から上腹部にかけての激しい痛みが出現します。
感染性腸炎
細菌やウイルスが体内に入ると胃腸炎を起こします。上腹部痛に限らず、臍部や下腹部の痛み、嘔吐や下痢症状も伴います。
急性膵炎
膵臓は胃の背中側にある臓器で、消化酵素を含む膵液を十二指腸に分泌しています。お酒の飲みすぎや、胆石のある方、中性脂肪が高い方に膵炎が起こりやすいと言われています。
自分でできる対処法|胃痛を和らげるには?
軽度の胃痛であれば、自宅でのセルフケアによって症状を改善できる場合があります。
食事の工夫
- 胃に優しい食べ物を選ぶ(おかゆ、豆腐、ヨーグルト、バナナなど)
- 刺激物を避ける(辛いもの、コーヒー、アルコール、脂っこい食事)
- よく噛んでゆっくり食べる
ストレス管理と生活習慣の改善
- 規則正しい生活リズムを維持する
- 睡眠不足を避け、適度な運動を取り入れる
- 深呼吸やリラクゼーションを取り入れ、ストレスを軽減する
市販薬の選び方と注意点
市販の胃薬には、「胃酸を抑えるタイプ」「胃粘膜を保護するタイプ」「消化を助けるタイプ」などがあります。症状に応じた適切な薬を選びましょう。ただし、長期間服用しても症状が改善しない場合は、医師の診察を受けることが重要です。
こんな場合は受診をお勧めします
以下の症状がある場合は、自己判断せずに病院を受診しましょう。
- 痛みが1週間以上続く、または頻繁に再発する
- 冷や汗を伴うほどの激しい上腹部痛
- 体重減少や貧血がある
- 吐血や黒色便がみられる
- 強い吐き気や嘔吐を伴う
- 高齢者や持病のある方で症状が悪化している
診断と治療
以下のような流れで診断と治療が行われます。
診察の流れ
1.問診
(痛みの場所・強さ・持続時間・関連症状を確認)
2.触診
(腹部の状態をチェック)
3.必要に応じた検査
(血液検査・ピロリ菌検査・胃カメラ・大腸カメラ、腹部超音波検査、腹部CT・MRI検査など)
内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)の重要性
最後に
胃痛は一時的なものから重大な病気のサインまで、さまざまな原因によって起こります。
軽度の症状であれば生活習慣の改善で対処できますが、長引く場合や異常を感じた場合は、早めの受診が大切です。気になることがあれば当院までお気軽にご相談下さい。
監修:仁愛堂クリニック 院長 小林俊一