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2025.03.23更新

【感染性腸炎は何に気をつければいい?】

 

感染性腸炎とは、細菌、ウイルス、寄生虫などの病原微生物が腸管内に侵入・感染し、炎症を引き起こす病気の総称です。主な症状は、下痢、嘔吐、腹痛などで、発熱や血便を伴うこともあります。

 

◆感染性腸炎の種類と特徴

感染性腸炎は、原因となる病原体によって、いくつかの種類に分けられます。

 

1. 細菌性腸炎
原因:サルモネラ菌、カンピロバクター、腸炎ビブリオ、病原性大腸菌など
特徴:発熱、腹痛、下痢(血便を伴うこともある)などの症状が比較的強く現れることが多い。
感染経路:加熱不十分な食品(肉、卵、魚介類など)の摂取、ペットからの感染など

 

2. ウイルス性腸炎
原因:ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなど
特徴:嘔吐、下痢、発熱などの症状が比較的急激に現れることが多い。
感染経路:感染者の嘔吐物や便からの経口感染、飛沫感染など
特にノロウイルスは感染力が非常に強く、集団感染を引き起こしやすい。

 

3. 寄生虫性腸炎
原因:アメーバ、ジアルジアなど
特徴:下痢、腹痛、腹部膨満感などの症状が慢性的に続くことがある。
感染経路:汚染された水や食品の摂取、衛生環境の悪い場所での感染など

 

◆症状
感染性腸炎の症状は、原因となる病原体や個人の体質によって異なりますが、一般的には以下の症状が現れます。


主な症状
• 下痢: 水様便、血便、粘液便など、様々なタイプの便が見られます。
• 嘔吐: 吐き気や嘔吐を伴うことがあります。
• 腹痛: 腹部のけいれんや差し込むような痛みを感じることがあります。
• 発熱: 高熱が出ることもあれば、微熱程度のこともあります。
• 吐き気: 食欲不振や吐き気を伴うことがあります。
• 脱水症状: 下痢や嘔吐が続くと、脱水症状を引き起こすことがあります。


原因別の症状
• ウイルス性腸炎:
* ノロウイルス: 激しい嘔吐、下痢、腹痛、発熱。
* ロタウイルス: 乳幼児に多く、水様性の下痢、嘔吐、発熱。
* アデノウイルス: 下痢、嘔吐、発熱、風邪症状。
• 細菌性腸炎:
* サルモネラ菌: 発熱、腹痛、下痢、嘔吐。
* カンピロバクター: 発熱、腹痛、下痢、血便。
* 腸炎ビブリオ: 激しい腹痛、下痢、嘔吐、発熱。
* 病原性大腸菌: 下痢、腹痛、血便。


◆検査
感染性腸炎の検査には、原因となる病原体を特定するための様々な検査があります。当院では以下の検査を行っております。
・便検査(便培養検査)
 便の中に含まれる細菌(サルモネラ菌、カンピロバクター、腸炎ビブリオ、病原性大腸菌など)を培養して特定します。
 結果が出るまでに数日かかります。


◆治療
感染性腸炎の治療は、原因となる病原体や症状の程度によって異なります。主な治療法は以下の通りです。


1. 対症療法
• 安静と保温:
  体を休め、安静に過ごすことが大切です。
  体を温め、保温に努めましょう。
• 水分補給:
  下痢や嘔吐によって失われた水分と電解質を補給します。
  経口補水液やスポーツドリンクなどを少量ずつ、こまめに摂取しましょう。
  重度の脱水症状がある場合は、点滴が必要となることがあります。
• 食事療法:
  症状が落ち着いてきたら、消化の良い食事を少量ずつ摂りましょう。
  おかゆ、うどん、柔らかく煮た野菜などがおすすめです。
  脂っこいものや刺激の強いものは避けましょう。
• 整腸剤:
  腸内環境を整え、症状の改善を助けるために、整腸剤が処方されることがあります。


2. 原因に応じた治療
• 細菌性腸炎:
 原因となる細菌の種類によっては、抗菌薬が投与されることがあります。
• ウイルス性腸炎:
 ウイルス性腸炎には、特効薬はありません。
 対症療法を行い、自然治癒を待ちます。
• 寄生虫性腸炎:
  寄生虫の種類に応じた駆虫薬が投与されます。


3. 注意事項
• 下痢止め薬:
  自己判断で下痢止め薬を服用すると、病原体の排出を妨げ、症状を悪化させることがあります。
  医師の指示に従って服用しましょう。
• 高齢者:
  高齢者は、脱水症状を起こしやすく、重症化するリスクが高いので、早めに当院を受診して下さい。


◆予防

感染性腸炎の予防には、以下の点が重要です。

1. 手洗い
食事の前、トイレの後、調理の前、外出後など、こまめな手洗いを徹底しましょう。
石鹸と流水で、指の間、爪の間、手首までしっかりと洗い、ペーパータオルや清潔なタオルで拭き取りましょう。
アルコール消毒液も有効です。

2. 食品の衛生管理
食品は十分に加熱調理し、生ものは避けましょう。
調理器具や食器は清潔に保ち、使用後は十分に洗浄・消毒しましょう。
食品は適切な温度で保存し、期限切れのものは避けましょう。
特に、貝類(牡蠣など)はノロウイルス感染のリスクが高いため、生食は避け、十分に加熱調理しましょう。

3. 環境の衛生管理
トイレやドアノブなど、多くの人が触れる場所は定期的に清掃・消毒しましょう。
嘔吐物や便の処理は、使い捨ての手袋とマスクを着用し、次亜塩素酸ナトリウムなどで消毒しましょう。
タオルや食器などは、他の人と共有しないようにしましょう。

4. 免疫力の維持
バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動を心がけ、免疫力を維持しましょう。
ストレスを溜めないように、リラックスできる時間を作りましょう。

 

◆その他
以下のような症状がある場合は当院を受診して下さい。
・症状がひどく、水分を摂取できない場合
・高熱や激しい腹痛がある場合
血便や嘔吐物に血が混じっている場合
・脱水症状がひどい場合
・症状が長引く場合

周囲への配慮
感染力が強い感染性腸炎の場合、周囲の人に感染を広げないように、外出を控えましょう。
家族や同居人がいる場合は、手洗いや消毒を徹底し、感染予防に努めましょう。


◆まとめ
感染性腸炎は、日常生活で注意すべき点がいくつかありますが、適切な予防と対処を行うことで、感染リスクを減らし、重症化を防ぐことができます。日頃から手洗いや食品の衛生管理を徹底し、体調に異変を感じたら早めに当院を受診して下さい。

 

 

 

~医療法人社団 俊爽会 理事長 小林俊一 監修~

 

 

 

 

 

 

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