内科疾患のお話し(睡眠時無呼吸症候群について)
2022.07.29更新
【睡眠時無呼吸症候群について】
Q. 睡眠時無呼吸症候群とは何ですか
A. 睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に何度も呼吸が止まってしまったり、浅くなったりして体の低酸素状態が発生する病気です。
日本での潜在的な患者数は約200万人以上と推定されていますが、実際に治療している人は、その約2割程度です。これは睡眠中に起こるため、病気の存在に気づきにくいことが原因と考えられます。
しかし、重症のまま放置していると、命に関わることもあります。低酸素状態が続くことで、心臓や血管に大きな負担がかかるため、「心筋梗塞」や「脳梗塞」、「高血圧」、「不整脈」などが起こりやすくなります。
また、低酸素状態と睡眠不足の影響で、体に過度なストレスが加わると、糖の代謝にかかわる「インスリン」などホルモンの働きが悪くなり、「糖尿病」や「脂質異常症」を招くこともあります。
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Q. どんな症状がありますか
A. ①周囲の人からいびきを指摘される
②夜間の睡眠時によく目が覚める・息苦しくなって目が覚めてしまう
③朝起きた時の頭痛や体の怠さ
④日中の眠気
⑤集中力の低下
⑥口やのどの渇き
⑦居眠り
……などの症状が挙げられます
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Q. どうして睡眠時無呼吸症候群になるのですか
A. 睡眠時無呼吸症候群は口や鼻から肺の入り口である声帯に至る空気の通り道が細くなるために発生する閉塞型、呼吸を調整する脳の動きが低下するために発生する中枢型、これら両方が関係する混合型に分けることが出来ますが、閉塞型が多くを占めています。
閉塞型の睡眠時無呼吸症候群の原因のひとつは肥満があげられます。睡眠中には喉の緊張が緩むため、正常な人でも空気の通り道が細くなりますが、呼吸が止まるまでには至りません。しかし、肥満の人では、喉に脂肪が多くついているために空気の通りが悪くなるのです。肥満ではない方でも顎の骨格や喉の奥の形や扁桃腺や口蓋垂が大きいなどによっては空気の通りが悪くなりやすく、無呼吸の原因となります。また飲酒や睡眠剤の内服は、喉の緊張を緩める作用があり、無呼吸を増加させる可能性があります。
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Q. 睡眠時無呼吸症候群を調べるにはどうしたらいいのですか
A. 終夜睡眠ポリグラフィー検査というものがあります。睡眠の精密検査で、呼吸が止まったり、浅くなったりする回数(無呼吸低呼吸指数;AHI)が1時間に5回以上に増加すると睡眠時無呼吸症候群と診断されます。一般的には、この回数が20回以上に増えた場合に、鼻マスクによる持続陽圧呼吸療法の適応になると考えられています。この基準はAHI20回以上の患者さんの寿命が、20回未満の患者さんよりも短いことなどから決められており、睡眠呼吸障害研究会によるガイドラインにも記載されています。
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Q. 治療の方法はどんなものがありますか
A. 重症度に応じて、装具や装置を用いて気道を確保する睡眠時無呼吸症候群の治療は、重症度に応じて適切な治療法が選択されます。
軽症から中等症の場合には、主に「マウスピース」が用いられます。睡眠中に装着することで、気道を確保します。中等症から重症の場合は、主に「CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸)療法」が行われます。この治療の長期効果と安全性は十分な検証がなされ、現時点で主たる治療法となっています。他にも気道を拡げる外科的治療はあります。その適応は、術後の再発もあるため、十分な術前評価が必要です。
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Q. CPAP治療方法とはなんですか
A. CPAP療法とは睡眠中、鼻に装着したマスクから適切な圧力をかけた空気を送り込み、気道を確実に広げる治療法です。CPAP療法を始めた多くの患者さんがよく眠れるようになったなど効果を実感しています。ただ、たまに装置が気になって眠れないなど、継続が困難な患者さんもいます。その場合には、マウスピースによる治療などに変更したりすることもあります。
CPAP療法には高い効果がありますが、気道の塞がりを根本から治すものではありません。外来通院による治療継続が必要となります。
また、CPAP療法では鼻から空気を送り込むので、鼻炎や副鼻腔炎など鼻の通りを悪くする病気があると、十分な効果が得られません。この場合は、耳鼻咽喉科で鼻の治療を受けます。
睡眠時無呼吸症候群の治療や検査は当院で行なっています。家族からいびきを心配されていて困っていたり、日中の眠気や居眠りに悩まされている方も多いのではないのでしょうか。ふだんから寝不足気味だからと思っていたら検査をしてみた結果、睡眠時無呼吸症候群だったという可能性は大いにあります。
少しでも気になることがあれば是非当院の医師にご相談下さい。