【慢性便秘症について】
-----便秘とは-----
高齢化や生活習慣の変化により「便秘」を訴える方は非常に増加しています。
日本のガイドラインでは【本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態】と定義されています。
つまり通常大腸内には生理的に残留している便があり、生理的範囲を超える便が貯留しないようにしているのが正常な排便で、過度の便が貯留していなければ排便がなくても異常ではありません。
一律に排便回数や排便量で決めるものではないのです。
そして腹部膨満感や腹痛、排便困難感や肛門のつまり感等が出現し治療を要するのが「便秘症」です。
お通じの不調…排便時はどんな状態ですか?
あまりお通じがなかったりお通じがすっきりしないと悩んでいる方、排便時の状態(下記①~⑤)をチェックしましょう。
① 排便回数の減少
② 排便時にいきみ
③ 下腹部の痛み・不快感
④ 便がかたい
⑤ 不快感
便秘は通常、3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態のことをいい症状は多岐にわたります。
----ー便秘の種類-----
便秘は急におこる「急性便秘」と継続して発症している「慢性便秘」に分類されます。
さらに原因別で、
腸に原因がなく腸の働きの低下などで発症する「機能性便秘」、
過敏性腸症候群(IBS)による「IBS便秘型」、
他の病気の影響による「症候性便秘」、
飲んでいるお薬の影響による「薬剤性便秘」、
そして腸自体の影響による「器質性便秘」に分類されます。
-----原因-----
便意を無視する習慣
下剤や浣腸の乱用
ストレス
などさまざまな原因によっておこります。
-----慢性便秘の診断-----
まず問診で患者さんに排便の状態などをお伺いします。
日々の排便の状態を伝えられるようにしておきましょう。
他の病気が原因で便秘となっている可能性がないかを確かめるために、下記検査を行う場合があります。
● 血液検査
● 腹部X線検査
● 腹部超音波検査
● 尿検査
● 大腸内視鏡検査
便秘症を引き起こす最も重要な病気は大腸がんです。
よって、大腸カメラを受けたことがない方にはまず大腸カメラを行い、がんや大きなポリープが無いかなどを確認します。
当院では大腸カメラを受けていただく際、ストレスを少なく検査を受けて頂けるように鎮静剤を使用して眠っていただいたり、
お腹の手術後などの影響で検査中に痛みが伴ってしまう場合には鎮痛剤を使用し痛みを軽減するといった工夫をしておりますので、安心して検査を受けて頂けます。
また、大腸のどこに便が貯まっているかで便秘のタイプが分かれ、治療方針もタイプごとに異なりますので、
腹部レントゲンを撮影し大腸のどこに便が貯留しているかを見極めるのも大事な検査方法であります。
診察時に内服薬を確認して薬の副作用による便秘の除外とともに、他にかかっている疾患の便秘への影響を評価することも重要です。
-----治療-----
慢性便秘症診療ガイドラインには、治療法として大きく二つ挙げられています。
「保存的治療」と「外科的治療」がありますが当院では「保存的治療」を行っています。
具体的には生活習慣や食習慣の改善、薬物療法などです。
ここ数年で便秘の新しい薬が販売されさまざまな機序で便秘治療が行われています。
市販薬でも便秘の薬は手に入りますが、刺激性下剤という種類が多く連用することにより薬剤の耐性が出てきてしまいます。
それにより効果が減弱し十分な効果が得られなくなるケースも少なくありません。
このような場合には各々の便秘の病態を解析して、個々に適した治療を選択し直すことが必要です。
便秘で苦しんでおられる方の多くは、便回数の減少もさることながらお腹の張りや排便後の残便感を訴えられています。
外来で症状の改善をしっかり聞きながら、薬の量の調節や薬の追加、変更をこまめにするよう診療させていただきます。
少しでもご不安な事がございましたらまずは診察にお越しくださいませ。