仁クリブログ

2023.02.17更新

【腸管出血性大腸菌O157について】

 

 腸管出血性大腸菌O157とは…

 

 大腸菌は、人や動物の腸内に常在しており、ほとんどのものが無害です。腸管出血性大腸菌O157は、毒力の強いベロ毒素を産生する大腸菌の一種です。抵抗力の弱い乳幼児や子供、高齢者が感染すると、腎機能や神経障害などの後遺症を残す可能性がある溶血性尿毒素症症候群を併発するなど、重症となる場合もあります。

 

【 原因 】

① 加熱不足の肉や生野菜
→国内の感染事例の原因食品と言われているものは、牛レバー刺し、ハンバーグ、牛角切りステーキ、鹿肉、牛たたき、ローストビーフ、サラダ、カイワレ大根、キャベツ、メロン、白菜漬け、日本そば、シーフードソースなどです。他にも様々な食品や食材から見つかっています。

② 殺菌されていない井戸水や湧き水なども、菌を保持している動物のフンに汚染されている可能性があるため、感染の原因となります。

③ 生の肉に使った包丁で切った調理済みの食品

 

【 症状 】

 潜伏期間は食後3~8日。頻回の水様便から発病し、激しい腹痛や水溶性の下痢、血便が見られます。発熱はあっても、多くは一過性のものです。一方で、全く症状がないものから軽い腹痛や下痢だけで終わる場合もあります。
 子供や高齢者では、貧血や腎臓のはたらきが悪くなって尿量が減る、血小板が減少し血が止まりにくくなることにより皮膚にあざができる、けいれんを起こすなどの症状が出ることがあります。さらに重症になると死に至ることもあります。
 激しい腹痛と血便があった場合は、特に注意が必要です。

 

【 治療 】

 感染症が疑われるときは必ず医師の診察を受けましょう。下痢止めの薬や痛み止め薬の中には、毒素が体外に排出されにくくするものもあるため、自己判断で服用しないようにしましょう。
 一般的な下痢の治療は、水分補給、消化しやすい食事の摂取などです。抗菌剤を使って治療することも有効ですが、細菌自体ではなく毒素が問題となるため、医師とよく相談して対応を決めましょう。

 

【 予防策 】

① 食中毒の3原則を把握しよう。

⑴ つけない
手の洗浄、消毒の徹底
 手には様々な菌やウイルスが付着しているため、食中毒の原因菌やウイルスを食べ物につけないようにするため、家庭では下記のようなときは必ず手を洗うよう注意しましょう。
・調理を始める前
・生肉や生魚、卵を取り扱う前後
・食卓につく前
・残った食品を扱う前

   食品の取り扱い
    ・生野菜はよく洗ってから食べましょう。
    ・肉や魚などはビニール袋や容器に入れて、冷蔵庫の中の他の食品に肉汁等がかからないようにしましょう。
    ・包丁やまな板を使うときは、先に生野菜などの加熱しない食品を切り、生肉は後できりましょう。生肉に使った包丁やまな板と調理済みの食品が触れないようにしましょう。また、包丁やまな板は肉用、魚用、野菜用と別々にそろえて使い分けるとさらに安全です。

⑵ 増やさない
迅速な調理・提供と低温保存
 細菌の多くは10℃で増殖がゆっくりとなり、-15℃では増殖が停止しています。食べ物についた菌を増やさないためには、低温で保存するのが重要です。肉や魚などの生鮮食品は、購入後できるだけ早く冷蔵庫に入れましょう。しかし、細菌が死ぬわけではないため、迅速な調理と提供を心がけましょう。

⑶ やっつける
加熱処理
ほとんどの細菌やウイルスは加熱によって死滅します。肉や魚だけでなく、野菜なども加熱して食べると安心です。
・生肉など加熱が必要な食品は、中心部まで十分に加熱しましょう。
→中心部を75℃で1分以上加熱することが目安です。
・野菜の除菌には湯がき(100℃のお湯に5秒程度)が有効であるとされています。
・生肉や生魚に使った調理器具は、使い終わったらすぐに洗いましょう。洗った後に熱湯をかけると消毒効果があります。

② 家庭内に感染者がいる場合
腸管出血性大腸菌O157の感染は、食品からだけではありません。感染者の便に含まれる大腸菌が、直接または間接的に口に入ることで感染します。ヒトからヒトへの感染を予防するのは手洗いが基本になります。注意点は下記の通りです。
・水洗トイレの取手やドアノブなど、菌で汚染されやすい場所を消毒用アルコールで消毒しましょう。
・食事前などは十分に手を洗い、アルコール消毒を行いましょう。
・感染者の便を扱うときは使い捨ての手袋を用いて、おむつ交換は決められた場所で行いましょう。
・感染者の便で汚れた衣類は別で洗濯しましょう。
・乳幼児は感染者の後に入浴しないようにしましょう。
・バスタオル等はひとりで一枚を使用し、共用しないようにしましょう。

 

【 最後に 】

 食中毒が多発する初春から初夏にかけて特に注意が必要ですが、気温の低い時期でも発生が見られることから、夏以外でも注意が必要です。当院ではO157スクリーニング検査を行うことができます。感染が疑われる場合は早めに専門医を受診し、相談しましょう。

 

★内科専門医による総合医療、全人的医療を提供している仁愛堂クリニックです。総武線平井駅から徒歩4分と近いので、是非ご来院下さい。

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仁愛堂クリニック 診療時間 TEL:0120-905-728 お電話でのお問い合わせはこちら 内視鏡検査専用TEL:0120-905-728
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