仁クリブログ

2025.10.10更新

「高脂血症」は、現在では一般的に**「脂質異常症(ししつ いじょうしょう)」**という名称で呼ばれています。


★脂質異常症(高脂血症)とは★
血液中にあるコレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)などの脂質の量が、基準値から外れて異常になった状態を指します。
血液中の脂肪分が濃くドロドロになった状態とも言えます。
脂質異常症は、通常、自覚症状がほとんどありません。
しかし、この状態を長く放置しておくと、血管の壁に脂質が沈着し、動脈硬化が進行します。動脈硬化が進行すると、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などの、命に関わる重篤な病気を引き起こす主要な原因となります。


★脂質異常症(高脂血症)を調べるには★
1. 診断のための基本的な検査:血液検査(採血)
脂質異常症の診断を確定するために必須となる検査です。血液中の主要な脂質成分の値を測定します。
《検査のポイント》
• 空腹時採血が原則: 特に中性脂肪は食事の影響を受けやすいため、通常は10時間以上の絶食後の早朝空腹時に採血することが推奨されます。(水やお茶の摂取は可能です。)
• 中性脂肪が高い場合や食後の採血の場合は、Non-HDLコレステロールが重視されることもあります。


2. 合併症や原因を調べる検査
脂質異常症が進行していないか、また他の病気が原因となっていないかを調べます。

《検査の種類》
◆頸動脈超音波検査(エコー)
首にある頸動脈の血管壁の厚さ(IMT)を測定し、動脈硬化の進行度やプラーク(脂質の塊)の有無を確認します。
◆腹部超音波検査(エコー)
肝臓に脂肪が溜まっていないか(脂肪肝)などを調べ、脂質異常症の原因や合併症を確認します。
◆心電図・CT・MRI検査(CT・MRIは近隣の検査センターご案内します)
必要に応じて、心臓(狭心症、心筋梗塞)や脳(脳梗塞)などの合併症の有無や程度を詳しく調べます。

◆他の血液検査

脂質異常症の原因となる病気(糖尿病、甲状腺機能低下症、腎臓病など)がないかを確認するため、血糖値や肝機能、腎機能なども同時に調べることが多いです。

 

治療
「高脂血症」(脂質異常症)の治療は、主に**「生活習慣の改善」が基本となり、これで改善しない場合や動脈硬化のリスクが高い場合に「薬物療法」**が加わります。
治療の目的は、心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患を予防することです。


1. 生活習慣の改善(治療の基本)
全ての脂質異常症の患者さんにとって最も重要なステップです。
当院には管理栄養士がおりますので、定期的に生活習慣のお話しをさせていただきます。食事療法や運動療法など、一人ひとりのライフスタイルに合わせて、無理なく取り組める方法を提案させていただきます。

2. 薬物療法
生活習慣の改善で目標値に達しない場合や、糖尿病、心臓病などの動脈硬化性疾患のリスクが高い場合に開始されます。

『 薬物療法の注意点 』
• 自己判断での中止・増減は厳禁: 検査値が一時的に改善しても、薬の効果によるものです。医師の指示に従い、継続して服用することが大切です。
• 生活習慣の継続: 薬を飲んでいても、食事療法や運動療法は治療の基本として続ける必要があります。

 


★予防★
「高脂血症」(脂質異常症)の予防は、動脈硬化を招く危険因子を減らすために、生活習慣を見直すことが最も重要です。
予防のポイントは「食生活」「運動」「その他の生活習慣」の3つです。


1. 食生活の工夫(食事療法)
基本的に伝統的な日本食を意識し、過剰なカロリー摂取を避けてバランスの良い食事を心がけます。
◆控えるべきもの(LDLコレステロール・中性脂肪を上げる)

・《飽和脂肪酸・動物性脂肪》
LDLコレステロールを上昇させます。肉の脂身、バター、生クリーム、ラード、インスタントラーメンなどの加工食品に多いです。
・《コレステロールを多く含む食品》
卵(卵黄)、魚卵(いくら、たらこ)、レバーなどの内臓系食品の摂りすぎに注意しましょう。
・《糖質・甘いもの》
中性脂肪の大きな原因になります。清涼飲料水、ジュース、菓子、デザート、過剰な主食(白米、白パンなど)を控えます。

◆積極的に摂るべきもの(LDLコレステロール・中性脂肪を下げる)
・《青魚》
DHAやEPAなどの$\text{n-3}$系多価不飽和脂肪酸が豊富で、中性脂肪を減らし、動脈硬化を抑制します。(サバ、イワシ、サンマなど)
・《食物繊維》
腸内でコレステロールや中性脂肪の吸収を妨げます。(野菜、海藻、きのこ、根菜類、玄米など)
・《植物性タンパク質》
コレステロールや中性脂肪を減らす働きがあります。(豆腐、納豆などの大豆製品)
・《調理法の工夫》
揚げ物や炒め物を減らし、蒸す、茹でる、網焼きなどの調理法を活用し、油の使用を減らしましょう。


2. 運動習慣(運動療法)
運動は中性脂肪を減らし、HDLコレステロール(善玉)を増やす効果があります。
• 有酸素運動を習慣に: ウォーキング、軽いジョギング、水泳、サイクリングなどを行います。
• 目安と強度: 1日合計30分以上の運動を、週3回以上(できれば毎日)行いましょう。運動強度は「ややきつい」と感じる中強度が適しています。
• 筋力トレーニング: 週2回程度の筋力トレーニング(筋トレ)も、基礎代謝を上げ、中性脂肪の消費を助けます。
• 継続: エレベーターでなく階段を使う、一駅分歩くなど、日常生活の中で身体活動量を増やす工夫が、継続の鍵です。

 

3. その他の生活習慣の改善
• 禁煙: 喫煙は動脈硬化の最大のリスク因子であり、直ちに禁煙することが最も重要です。
• 標準体重の維持: 過食を抑え、適正な体重を維持することで、脂質異常症のリスクが減少します。
• ストレス・睡眠: ストレスはコレステロール値を上げる原因となることがあります。十分な睡眠をとり、趣味などでリラックスする時間を持つなど、適切なストレス管理を心がけましょう。
• 定期的な健康診断: 自覚症状がないうちに進行するのが脂質異常症の特徴です。定期的に当院で健康診断を受け、自分の脂質値を把握し、異常を早期に発見することが大切です。


健康な血液を保つために、まずは**『できることから一歩』**踏み出しましょう。
• 食事は、揚げ物や甘いものを減らし、青魚や野菜を積極的に摂る。
• 運動は、毎日30分のウォーキングを習慣にする。
こうした生活習慣の改善は、病気を防ぐ最高の薬です。
ただし、努力だけでは数値が改善しない場合や、遺伝的な要因が背景にある場合もあります。健診でLDLコレステロールや中性脂肪の異常が判明した際は、自己判断せず、必ず当院にご相談ください。あなたの現在のリスクを正確に評価し、最適な治療計画を一緒に立てていきましょう。

 

 

 

~~ 医療法人社団 俊爽会 理事長 小林俊一 日本内科学科 総合内科医 監修 ~~

 

 

 

 

 

 

 

 

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