仁クリブログ

2025.08.23更新

一般的に、脂肪肝は肥満の人に多く見られる病気ですが、近年、見た目はスリムなのに脂肪肝である「隠れ脂肪肝」や「痩せの脂肪肝」が増加していると言われています!!
痩せている人が脂肪肝になる主な原因はいくつか考えられます。
♦筋肉不足による代謝の低下
体重が少なくても筋肉量が極端に少ない「隠れ肥満」の状態になっていることがあります。筋肉は体の中で最も多くのエネルギーを消費する組織の一つです。筋肉量が少ないと基礎代謝が低下し、摂取したエネルギーが消費されにくくなるため、余ったエネルギーが脂肪として肝臓に蓄積されやすくなります。
極端なダイエットや偏った食生活
無理な食事制限を伴うダイエットは、体内のタンパク質が不足し、筋肉量が減少する原因になります。また、急激な体重減少が肝臓に負担をかけ、一時的に脂肪が蓄積されやすくなるケースもあります。これは「低栄養性脂肪肝」とも呼ばれます。
♦過剰な飲酒

アルコールの過剰摂取も脂肪肝の原因となります。アルコールが分解される過程で、肝臓に中性脂肪が蓄積されやすくなります。

 

 

 

【脂肪肝とは?】

脂肪肝とは、その名の通り、肝臓に中性脂肪が過剰に蓄積した状態の病気です。
健康な肝臓には少量の脂肪が含まれていますが、肝臓全体の30%以上に脂肪が溜まると「脂肪肝」と診断されます。
肝臓は、摂取した脂質や糖質を分解してエネルギーに変えたり、毒素を解毒したりするなど、重要な働きを担っています。しかし、食事から摂るエネルギーが多すぎたり、運動不足などで消費エネルギーが少なかったりすると、余ったエネルギーが中性脂肪として肝臓に蓄えられてしまいます。

 

【種類】
脂肪肝は、その原因によって大きく2つに分類されます。
アルコール性脂肪肝

過剰な飲酒が原因で起こる脂肪肝です。アルコールが肝臓で分解される過程で中性脂肪が作られやすくなるため、お酒の飲みすぎは肝臓に負担をかけ、脂肪肝を引き起こします。
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)

アルコールをほとんど飲まない人に起こる脂肪肝です。近年増加傾向にあり、肥満、糖尿病、脂質異常症、運動不足、偏った食生活などが原因となります。さらに、以下の2つに分けられます。

単純性脂肪肝(NAFL)

肝臓に脂肪が溜まっているだけで、肝臓に炎症や線維化(組織が硬くなること)がない状態。すぐに肝硬変や肝がんに進行するリスクは低いとされていますが、放置すると次の段階へ移行する可能性があります。
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)

単純性脂肪肝に肝臓の炎症が加わり、肝細胞が破壊される状態。このNASHは進行すると肝硬変や肝がんに移行する可能性があり、注意が必要です。

 

【症状】

脂肪肝は「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓の病気であるため、初期には自覚症状がほとんどありません。
そのため、健康診断で初めて指摘されるケースが多いです。病状が進行すると、以下のような症状が現れることがあります。
全身の倦怠感、疲れやすさ
お腹の膨満感
食欲不振
肩こり、頭がボーっとする
これらの症状は他の病気と間違われやすいため、放置してしまうことがあります。

 

【検査】

脂肪肝の診断には、主に以下のような検査が用いられます。

♦血液検査

健康診断でも一般的に行われる検査です。肝臓に異常があると、血液中の特定の酵素の数値が上昇します。
・AST(GOT) 肝臓や心臓、筋肉などに多く含まれる酵素。肝臓の細胞が壊れると数値が上昇します。
・ALT(GPT) 主に肝臓の細胞に多く含まれる酵素。肝臓に特異性が高いため、肝臓の異常を調べるのに役立ちます。
・γ-GTP アルコール性肝障害や胆道系の病気で上昇することが多い酵素ですが、脂肪肝でも高くなることがあります。
・中性脂肪(TG) 血液中の脂肪の一種で、脂肪肝の患者さんで高くなる傾向があります。
ただし、血液検査で異常がなくても、脂肪肝である場合があります。特に非アルコール性脂肪肝(NAFLD)の場合、半数以上で血液検査の数値に異常が見られないこともあるため、血液検査だけで安心はできません。

 

 

♦画像検査

肝臓にどれくらい脂肪が溜まっているか、直接的に確認できる検査です。
腹部超音波(エコー)検査 お腹にゼリーを塗り、超音波の機械をあてて肝臓の状態を調べます。脂肪が溜まった肝臓は、超音波を反射して白っぽく(高輝度)映ります。この検査は、脂肪肝の診断に最も簡単で広く用いられる方法です。

CT検査 X線を使って体の断面を撮影する検査です。脂肪肝になると、肝臓が他の臓器よりも黒く(低濃度)映ります。

MRI検査 より詳細な肝臓の状態や線維化の進行度を調べるために用いられることがあります。
★当院で、超音波検査できますのでお気軽にご相談ください。

 

 

【治療】

脂肪肝の治療の基本は、生活習慣の改善です。特に、アルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)では、それぞれ重視するポイントが異なります。

♦アルコール性脂肪肝の治療

断酒または減酒: アルコールを摂取するのを完全にやめるか、量を大幅に減らすことで、肝臓への負担を軽減します。
栄養管理: 飲酒量が多い人は、食事から十分な栄養が摂れていないことが多いため、バランスの取れた食事を心がけます。
定期的な健康診断: 治療後も定期的に検査を行い、肝機能の回復状況や再発の有無を確認します。

アルコール性脂肪肝は、原因である飲酒をやめることで、比較的早く改善することが多いとされています。

 

♦非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の治療

NAFLDの治療の中心は、食事療法と運動療法による減量です。

 

♦食事療法

総カロリーの制限: 摂取カロリーが消費カロリーを上回らないように、適切な食事量を心がけます。
糖質・脂質の制限: 炭水化物や脂質の過剰摂取は、肝臓に脂肪が蓄積する大きな原因となります。
バランスの取れた食事: タンパク質、ビタミン、ミネラルをバランス良く摂取します。食物繊維は糖質の吸収を緩やかにするため、積極的に摂るようにします。

 

♦運動療法

有酸素運動: ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングなど、軽く汗ばむ程度の運動を1日30分以上、週に3〜5回行うことが推奨されます。
筋力トレーニング: 筋肉量を増やすことで基礎代謝が向上し、脂肪が燃えやすい体になります。

 

♦薬物療法
生活習慣の改善が難しい場合や、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)が進行している場合は、医師の判断で薬物療法が検討されることがあります。
・既存の病気の治療薬: 糖尿病、脂質異常症、高血圧などの生活習慣病を合併している場合は、その病気の治療薬が脂肪肝にも効果を示すことがあります。
・NASH治療薬: 肝臓の炎症を抑えたり、線維化を改善したりする薬が研究・開発されています。現在、保険適用となっている治療薬は少ないですが、今後の進展が期待されています。

治療の注意点
・自己判断での中断は避ける: 脂肪肝は自覚症状がないため、治療の効果を実感しにくいことがあります。しかし、自己判断で治療をやめてしまうと、病状が進行するリスクがあります。
・無理のない目標設定: 急激な減量はかえって肝臓に負担をかけることがあります。無理のない範囲で、徐々に生活習慣を改善していくことが大切です。

 

【予防・対策】
脂肪肝を予防・改善するための対策は、日々の生活習慣を見直すことが最も重要です。以下に具体的な方法を挙げます。
♦バランスの取れた食生活
・適正なカロリー摂取: 食べ過ぎは脂肪肝の最大の原因です。年齢や活動量に見合ったカロリーを意識し、特に夕食は控えめにしましょう。
・糖質・脂質のコントロール: ご飯、パン、麺類などの炭水化物や、揚げ物、肉の脂身などの脂質の摂り過ぎに注意が必要です。野菜やきのこ、海藻など、食物繊維が豊富な食品を先に食べると、血糖値の急上昇を抑えられます。
・タンパク質をしっかり摂る: 筋肉を維持・増強するために、良質なタンパク質(魚、鶏むね肉、大豆製品など)を毎食摂るように心がけましょう。
・お酒は適量を: アルコールの摂り過ぎはアルコール性脂肪肝の直接的な原因になります。休肝日を設けたり、適量を守ったりすることが大切です。

 

♦適度な運動
・有酸素運動
ウォーキング、ジョギング、水泳など、無理なく続けられる有酸素運動を毎日30分以上行うのが理想です。脂肪を燃焼させ、肝臓の脂肪を減らす効果が期待できます。
・筋力トレーニング: スクワットや腹筋など、筋肉を増やすトレーニングも取り入れましょう。筋肉量が増えると基礎代謝が上がり、太りにくい体になります。

 

♦体重管理

・目標は体重の7%減
現在の体重から7%減量するだけでも、脂肪肝が改善されることが分かっています。急激な減量は体に負担をかけるため、1ヶ月に1〜2kg程度のゆっくりとした減量を目指しましょう。

 

♦規則正しい生活
・十分な睡眠
睡眠不足は、食欲を増進させるホルモンの分泌を促し、肥満につながることがあります。質の良い睡眠を7〜8時間確保するように心がけましょう。

 

♦ストレス管理

ストレスは暴飲暴食につながることがあります。趣味やリラックスできる時間を見つけて、ストレスを溜め込まないようにしましょう。

これらの対策を継続することが、脂肪肝を予防し、健康な肝臓を維持するための鍵です。日々の生活の中で少しずつ意識して取り組んでみましょう。

 

 

【まとめ】

脂肪肝を放置するとどうなる?

脂肪肝を放置し、特に非アルコール性脂肪肝炎(NASH)が進行すると、肝臓の線維化が進み、最終的には肝硬変や肝がんに進行するリスクが高まります。
脂肪肝は、生活習慣病と密接に関わっており、糖尿病や脂質異常症、高血圧などのリスクも高めます。

そのため、脂肪肝と診断された場合は、生活習慣を見直し、改善することが非常に重要です!!日頃からバランスの取れた食事や適度な運動を心がけ、定期的に健康診断を受けることが大切です。

ご自身の健康に関して少しでも気になることがございましたら、当院にお気軽にご相談ください。

 

 

 

 

 

 

 

~~医療法人社団 俊爽会 理事長 小林俊一 日本内科学科 総合内科医 監修 ~~

 

 

 

 

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