仁クリブログ

2022.09.16更新

【抗菌から無菌までについて】

昨今のコロナ禍で抗菌・除菌・殺菌というフレーズをよく聞きます。さて、これらの意味は何でしょうか?何となく「菌やウィルスを抑える消毒のレベル」だとわかりますが...。
 今回はこの点について少しお話したいと思います。
 
 前記の「菌やウィルスを抑える消毒のレベル」にはもっと広い段階があります。主に、①抗菌、②除菌、③殺菌、④滅菌、⑤無菌があげられます。後ろになるにつれて消毒効果のレベルが増強します。

①抗菌
単純に、菌の増殖を抑えること。抗菌されていない状態より菌の繁殖がされにくい環境を作ることです。よく「抗菌コート」という言葉で使われますが、相当な数の菌はいるけどそれ以上増えにくくするだけのレベルです。使われるのは、スマートフォンの液晶フィルム、トイレの便座、家具など日ごろ手で触るものです。
経済産業省から言われる抗菌の定義からは残念ながらウィルスはその対象に入ってません。
②除菌
読んで字のごとく「菌を除く」こと。ここから初めて、ウィルスも対象になりますので微生物という言葉も使います。
菌を取り除くといっても完全に菌をどけるのではなく、大部分の微生物を移動させる程度を考えたほうが正しいかもしれません。当然、微生物を死滅させるわけではありません。また、減らす微生物の種類や数は定義されてません。
主に、洗濯洗剤、食器洗剤、ウェットティッシュで使われます。あと電車内の窓開け換気も「空間の除菌」に値するかもしれません。
③殺菌
これも読んで字のごとく「菌を殺す」こと。ここから初めて微生物を物理的・化学的に殺すことになりますが、これも残念ながら微生物の種類や数は定義されてません。用途はおなじみのアルコール消毒や薬用せっけんがあげられます。アルコール消毒は後ほどお話ししたいと思います。
④滅菌
読んで字のごとく単に「菌を滅する」だけではありません。ここから具体的な定義がつけられています。簡単に言うと微生物の数を100万分の1以下に死滅させます。対象となるのは口腔以外で体の中に入れるもの、主に手術器具や注射針等です。殺菌までは家庭でも行うことができますが、滅菌は医療施設の高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)やガス滅菌を用います。もし家庭でできる滅菌といえば煮沸消毒か火炎滅菌くらいかと思います。オートクレーブについても後ほど少しお話ししたいと思います。
⑤無菌
ここまでくると消毒の範疇ではありません。一応定義は、適切な滅菌工程により滅菌された製品中の汚染菌の最大生存確率が10のマイナス6乗であること。10のマイナス6乗とは滅菌の項目で出てきた100万分の1です。ただしここでは微生物の数でなく生存確率です。少し想像つきませんね。無菌を英語では「sterile」と「aseptic」の2つの意味があります。
「sterile」は生存可能な微生物がいない事。私的には微生物が一匹もいない空間はありえないと思いますが。
「aseptic」は汚染物質または微生物が既定の許容限界範囲内に管理されている事。よく大きな病院で無菌室という部屋を見かけます。これは後者の意味で管理されています。

 これまで抗菌から無菌まで簡単にお話ししましたが、日常生活において役立つ知識は殺菌まででしょうか。ここで、殺菌の項目で触れましたアルコール消毒についてお話ししたいと思います。
薬局等で陳列されているアルコール消毒剤は、エタノールが使われているものとイソプロパノールが使われているものがあります。当然用途も異なります。
①エタノール製剤
主に手指消毒です。手指を消毒するので直ぐに乾燥させずなじませるためにジェルが入っていることが多いです。採血や点滴で使う酒精綿ではジェルは入ってません。意外と知られてないのですがアルコール消毒は揮発する時殺菌効果が増します。
②イソプロパノール製剤
一般には手指以外の器具消毒です。エタノール製剤に比べ約2倍の殺菌効果があるといわれてます。手指の消毒にもならないこともないのですが、皮膚の浸食が強く手荒れしやすいです。
またほとんどのウィルスに有効ですがノロウィルスとアデノウィルスに対しては効果が弱いです。
昨今手指消毒用ではないのですがエタノールIPという種類の消毒剤があります。IPとはイソプロパノールの略でエタノール製剤に少量のイソプロパノールが添加されています。ノロウィルス感染の疑われた患者の器具の消毒で役立ちます。

実際の商品には使用用途が詳しく書かれていたり、陳列棚も離れていたり迷うことはないと思いますが知っておくと便利ですね。

最後に、滅菌の項目でふれたオートクレーブについて話します。
当院でもオートクレーブ(高圧蒸気滅菌装置)を用いてます。主に耐熱性内視鏡用器具です。

オートクレーブ(高圧蒸気滅菌装置)
高圧蒸気滅菌とは134℃2気圧10分間の環境下により微生物を死滅させます。前述のように滅菌とうたってるので微生物の数は100万分の1まで減らすことが可能です。

134℃2気圧10分間の環境下により微生物を死滅

しかしなぜ134℃という中途半端な温度なんでしょうか?
世の中で屈指の耐熱性の細菌が存在してます。Bacillus stearothermophilus、バチラス ステアロサーモフィルスといいます。
通常、ほとんど細菌は75℃以上1分間の煮沸、ノロウィルスは85℃以上1分間の煮沸で死滅します。
バチラス属は芽胞という耐熱性の糖で出来た殻を作り100℃くらいでも生存できます。中でも Bacillus stearothermophilusは最も耐熱性に優れオートクレーブの性能評価に使われる細菌です。逆に言うとこのくらいの条件下でないと死滅しません。
因みにこの細菌は非病原性細菌でよかったです。しかし芽胞有する細菌は怖い細菌も多いのも事実です。例えば炭疽菌、ボツリヌス菌、破傷風菌、ガス壊疽菌など要注意です。

 

2022.09.09更新

9/15(木)は急遽、小林院長の診察が休診となり、代診医師の診察となります。

ご迷惑をお掛け致しますが、何卒、ご了承下さい。

2022.09.08更新

【頭痛について】


「どうして頭痛の症状が起こるの?」
日常的に頭痛に悩む、いわゆる「頭痛もち」の人は多いもの。発症しやすい条件や痛みの抑え方を把握し、自分なりの対策を持つのが大切です。一方で、いつもと違う強い頭痛には心配な病気が隠れている可能性も。まずは、頭痛のメカニズムと原因、見分け方を知りましょう。


「心配になる“原因がわからない頭痛”」
頭痛には「一次性頭痛」と「二次性頭痛」がある
普段感じる頭痛の多くは、他に原因となる病気のない「一次性頭痛」です。よく頭痛に見舞われる人だったら、ストレスや生活習慣、姿勢などがきっかけで起こった際に「ああ、前と同じような頭痛だな」という感覚があるかもしれません。
一方、病気などの原因によって引き起こされる頭痛は「二次性頭痛」といいます。特に見逃すと危険性が高い病気、また医師のもとできちんと治療を受ける必要がある病気としては、くも膜下出血、脳腫瘍、慢性硬膜下出血、高血圧性脳症、副鼻腔炎、うつ病などがあります。
重大な病気が原因となる二次性頭痛は早めに受診を
「昨日は寝不足だった」「ちょっと飲み過ぎたかも」などといった原因が特に思い当たらず、次のような条件にあてはまる場合は、注意すべき病気を原因とした二次性頭痛の可能性があります。なるべく早く受診して、根本的な原因をつきとめることが大切です。
・今まで感じたことのない痛みがある場合
・突然痛みが出て、どんどんひどくなる場合
・頭痛が何度も起こり、最初と比べて痛みが強くなっているように感じる場合
・頭痛とともにめまいや吐き気、嘔吐などが現れてきた場合
・頭痛とともに目の見えにくさや手足の動きにくさなど、何らかの体の異変を感じた場合
・頭痛とともに熱や発疹が生じた場合


「熱中症や二日酔いなど、別の症状・原因の結果として起こる頭痛も」
風邪や熱中症、二日酔いなどといった日常的な病気や行動が原因で起こる一過性の頭痛もあります。こうした頭痛も、他に原因がある二次性頭痛に分類されますが思い当たる原因を解消すれば自然に治るものです。頭痛症状が気になる場合は頭痛薬で痛みを鎮めることができますが、生活習慣を整えたり、飲み過ぎに気をつける、外出時の熱中症を避けるなどして原因を回避し、予防することが根本的な対策です。
頭痛が起こるメカニズム
頭の内外の血管や頭につながる神経が圧迫や炎症などの刺激を受けたり、頭や首の筋肉が伸び縮みしたりすると、それぞれの部位で痛みの刺激を受け取る部分が反応して発生します。血管で起こった痛みは広い部分に伝わり、頭皮や頭の骨を取り巻く部分に刺激が起こったときはその部分が痛みます。


「慢性的に起こる頭痛(一次性頭痛)の主なタイプと対策」
原因となる病気などがなく、「同じような痛み方をする頭痛をしょっちゅう経験している」という場合は、慢性的な一次性頭痛が考えられます。
一次性頭痛には主に片頭痛、緊張型頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛の3つのタイプがあり、それぞれ頭痛を誘発する要因や対処法が異なります。自分の頭痛はどのタイプにあたるのかを把握してそれに合った対策をとることが大切です。
片頭痛(血管性頭痛)~ズキズキする、動かしたときに痛む
片頭痛は、頭の片側(または両側)が脈打つようにズキズキと痛む頭痛です。吐き気、嘔吐を伴うことがあり、光・音に敏感になるなどの症状があります。痛みは強く、4~72時間ほど持続し、体を動かしたり入浴したりすると悪化するのが特徴です。原因はまだはっきりしていませんが、何らかの刺激が三叉神経(脳から直接出ている神経)の刺激につながり、さらに連鎖反応的に血管の拡張や炎症が発生していくためと考えられています。
片頭痛が起こる前には、目の前がチカチカする、目が回るなどの前兆が現れることがあります。20~40歳代の女性に多くみられ、月経時やその前後に発症するケースも多くみられます。妊娠中は、一時的に片頭痛が軽減される人が多数いますが、半数の人は出産後1ヵ月程度で再発します。
最近は医療用成分でよく効く薬がありますので、専門医の診療を受けましょう。ただし、くも膜下出血などの重大な疾患を片頭痛と間違える危険性があるので慎重な判断が必要です。
この頭痛を引き起こす原因としては次のようなことが考えられます。
・ストレス・精神的緊張(解放されたときに起こりやすい)
・疲れ
・空腹
・アルコールの摂取
・寝不足(寝過ぎ)
・月経
・人ごみや騒音などの物理的な刺激
・天候の変化
緊張型頭痛(筋肉収縮性頭痛)~ジワジワ締めつけられる感じがする
一次性頭痛のなかで最も多いとされるのが緊張型頭痛です。後頭部、こめかみ、額を中心に頭重感や圧迫感または締めつけられるような痛みがジワジワと発生し、しばらく続きます。光か音のどちらかに過敏になる人もいますが、片頭痛のように吐き気や嘔吐が発生することはなく、体を動かした際に痛みが悪化することもありません。痛みの強さは軽度~中程度で、日常生活に支障が出ることは少ないようです。
主な原因は、頭、首、肩の筋肉の緊張によって血行が悪くなることとされていますが、ストレスなどの神経的な緊張が引き金となることもあると考えられています。
なお、緊張型頭痛のある人が片頭痛を起こす混合型もあります。
この頭痛を引き起こす原因としては次のようなことが考えられます。
・ストレス(身体的・精神的)
・顎関節症(あごの関節の異常)
・長時間同じ姿勢でいる(うつむき姿勢など)
・運動不足
・眼精疲労
群発頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛~目の奥にガーンという衝撃が、ある期間、毎日起こる
頭の片側に頭痛が現れ、それと同じ側の目や鼻、耳などに異常が現れる頭痛を「三叉神経・自律神経性頭痛」といいます。群発頭痛は左右どちらかの目の周囲からこめかみのあたり(前頭部~側頭部)にかけての激しい痛みと、痛むほうの目の充血、涙、鼻水、鼻づまり、まぶたの下垂などといった症状を伴うのが特徴で、痛み発作は1日に2~8回繰り返され、数日~3ヵ月ほどの間、集中して続きます(群発期)。頭痛が起こらない時期を経て、また群発期がやってくる場合(反復性群発頭痛)や、群発期が年中続く場合(慢性群発頭痛)もあります。
発症年齢は20~40歳で、男性に多い傾向がありましたが、近年、男女差は徐々に減少する傾向にあります。痛みが起こるメカニズムとしては、目の奥の動脈の拡張が原因でうっ血や炎症が起こり頭痛につながるという説、眼や上顎、下顎に向かって走る三叉神経の活動が過剰に高まることによって発生するという説などが考えられています。
睡眠中に起こることが多く、激痛で目が覚めることがあります。
この頭痛を引き起こす原因としては次のようなことが考えられます。
・飲酒
・喫煙
・血管拡張剤の服用
・気圧の変化


「“更年期障害”と頭痛の関係」
閉経前後のおよそ10年間、女性はホルモンの分泌量や自身を取り巻く環境など、体と心にかかわるさまざまな変化を体験します。この変化の影響によって出現する更年期障害として、主症状といわれる顔のほてりやのぼせ、汗、イライラ感などのほか、頭痛を訴える人も多数に上っています。
更年期障害によって頭痛が起こる理由は明らかではありませんが、女性ホルモン(エストロゲン)の量の急激な変化と、精神的な不安からくるストレスの両方が、頭痛の出現に関与している可能性が考えられています。
※下記のような場合は医師の診断を受けましょう。
・今まで感じたことのない痛みがある場合
・突然痛みが出て、どんどんひどくなる場合
・頭痛が何度も起こり、最初と比べて痛みが強くなっているように感じる場合
・頭痛とともにめまいや吐き気、嘔吐などが現れてきた場合
・頭痛とともに目の見えにくさや手足の動きにくさなど、何らかの体の異変を感じた場合
・頭痛とともに熱や発疹が生じた場合
特に、ガンガン殴られるような激しい痛み、高熱、意識障害、手足の麻痺、ろれつが回らなくなるなどの症状が出ているときは、緊急性の高い脳の病気が原因になっているかもしれません。ためらわず、すぐに病院に行きましょう。
慢性頭痛でも、寝込むほど痛みが激しい片頭痛を繰り返していたり、群発頭痛が長期化していたりしてつらい場合も受診しましょう。

2022.09.01更新

【熱中症について】

暑い日が続き、熱中症にもみなさん注意しながら過ごしているのではないでしょうか。熱中症についてここから記載していきたいと思います。

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【熱中症とは】

高温多湿な環境に長時間いることで、体温調節 機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態を指します。屋外だけでなく室内で何もしていないときでも発症し、 救急搬送されたり、場合によっては死亡することもあります。熱中症について正しい知識を身につけ、体調の変化に気をつけるとともに、 周囲にも気を配り、熱中症による健康被害を防いでいくことが大切です。

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【熱中症を起こす時期】

・梅雨の晴れ間や、梅雨明けの急に暑くなったとき

梅雨の晴れ間や、梅雨明けの蒸し暑くなった時期にも熱中症は多く見られます。この時期は身体がまだ暑さに慣れていないため上手に汗をかくことができず放熱量が低くなる為、体温をうまく調節できないからです。暑い日が続くと、次第に身体が暑さに慣れてきます。

・真夏の気温が高い時

7月~8月の日中、最高気温が高くなった日に熱中症の患者数が増加しています。また熱帯夜が続くと、夜間も体温が高く維持されてしまうため、熱中症が起こりやすくなることがわかっています。
熱中症による救急搬送は、真夏日(最高気温が30度以上)になると発生し始め、猛暑日(35度以上)では急激に増加します。

以下の様な日には要注意です。

・気温が高い日
・暑くなり始め
・湿度が高い日
・風が弱い日
・日差しが強い日
・熱帯夜の翌日
・照り返しが強い場所
・熱いものがそばにある場所
・急に暑くなった日

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【熱中症の分類】
熱中症とは以下の4つに分類されます。

①熱失神
皮膚血管の拡張によって血圧が低下し、脳への血流が悪くなることにより起こります。症状として、めまい、一時的な失神、顔面蒼白、脈は速くて弱くなるなどがあります。

②熱けいれん
大量に汗をかき、水だけを補給して血液の塩分(ナトリウム)濃度が低下した時に、足、腕、腹部の筋肉に痛みを伴ったけいれんが起こります。症状として、筋肉痛、手足がつる、筋肉がけいれんするなどがあります。

③熱疲労
大量に汗をかき、水分の補給が追いつかないと、身体が脱水状態になり熱疲労の症状がみられます。症状として、全身倦怠感、悪心・嘔吐、頭痛、集中力や判断力の低下があります。

④熱射病
体温の上昇のため中枢機能に異常をきたした状態です。意識障害(応答が鈍い、言動がおかしい、意識がない)がみられたり、ショック状態になる場合もあります。そのほかの症状として、体温が高い、ふらつくなどの症状があります。

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【熱中症への対対応と対策】

①症状の確認
熱中症が疑われる時には、適切に応急処置をする必要がありますが「意識がない、もしくは意識がはっきりしていない」場合はすぐに救急車を要請しましょう。また、救急車が到着するまでの間に現場での応急処置も必要となります。

②応急処置
救急車を呼んだ場合もそうでない場合も、現場では速やかな処置が必要です。症状や重症度に関わらず、熱中症が疑われる時には涼しい場所へ移動し身体を冷やすことと、水分と電解質を速やかに補給する必要があります。

③水分・電解質の補給
意識がはっきりしているなら、電解質を適量含んだ冷えた飲料を自分で飲ませて下さい。汗で失われた電解質も適切に補えるスポーツドリンク(ナトリウムを100mlあたり40~80mg含んでいる飲料)や経口補水液などが最適です。「呼び掛けや刺激に対する反応がおかしい」、「応えない(意識障害がある)」時には誤って水分が気道に流れ込む可能性があるため、無理に飲ませることは避けて下さい。「吐き気を訴える」または「吐く」という症状がある時は、口から水分を摂らせることは適切ではないため、医療機関での点滴等の処置が必要となります。

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みなさま、熱中症に注意してお過ごしください。

 

2022.08.27更新

【食道がんとは?】

食道とは、のど(咽頭)と胃をつなぐ管状の臓器で、食道の粘膜から発生するがんを食道がんといいます。
日本人の食道がんは約半数が食道の中央付近からでき、次に食道の下部に多くできます。粘膜に出来たがんが進行すると大きくなり、筋肉など壁の深いところにまで入り込んでいきます。
さらに進行すると、血管やリンパ管にがん細胞が流れだし他の臓器やリンパ節に転移する恐れもあります。


【食道がんの症状は?】

食道がんの症状は、初期には自覚症状がないことがほとんどですが、まれに刺激物(辛い、すっぱい)を食べたときにしみるような感覚を感じる場合があります。
初期にがん細胞が発見される場合は、人間ドッグなどの健康診断や定期検診において発見される場合が多いことがわかっています。
がんが進行するにつれて、飲食時の胸の違和感、飲食物がつかえる感じ、体重減少、胸や背中の痛み、咳、声のかすれなどの症状が出ます。

・飲食物がつかえる
がんが大きくなり食道の内側が狭くなると、飲食物がつかえやすくなり、次第に軟らかい食べ物しか通らなくなります。がんがさらに大きくなると、食道をふさいで水も通らなくなり、唾液も飲み込めずにもどすようになります。飲食物がつかえると食事の量が減り、体重が減少します。

・胸や背中の痛み
がんが進行して食道の壁を越えて、周囲にある肺・背骨・大動脈などに広がっていくと、胸の奥や背中に痛みを感じるようになります。また、食道がんが気管や気管支などに及ぶとその刺激によって咳が出ることがあります。また、声帯を調節している神経へ及ぶと声がかすれることがあります。


【食道がんの原因は?】

食道がんの原因は、喫煙、飲酒と関連していると言われています。

・喫煙
たばこを吸わない人に比べて、吸う人は約3倍危険が大きくなります。1日20本のたばこを20年間吸った人は、吸わない人の約5倍のリスクになるといわれています。
また、受動喫煙によっても食道がんの危険度は増すので、たばこを吸わない人も注意が必要です。

・飲酒
お酒を全く飲まない人に比べて、お酒に強く毎日4合程度飲む人の危険は約10倍以上になります。
また、お酒を飲むと顔が赤くなる人が同じように毎日4合程度飲むと、飲まない人の約100倍にも危険が大きくなります。
ただし、お酒が強い人でも、お酒を飲む量が増えるとリスクは上がります。


【検査方法は?】
食道がんが疑われる場合は、一般に内視鏡検査を行います。
内視鏡を食道に挿入し、病変を観察します。病変の位置、数、大きさ、広がり、形、色などから進行度がわかります。
また、バリウムを使った検査もありますが、バリウムを飲み込むタイミングや食道がんのできている場所によっては陰になって発見できないことがあります。そのため、バリウム検査で食道がんが見つからなかったとしても、注意が必要です。
(当院ではバリウム検査は行っておりません)
当院での内視鏡検査時に食道がんの疑いが見つかった場合は、入院設備がある協力・提携医療機関をご紹介させていただきます。


【予防方法は?】
がん予防には禁煙、節度のある飲酒、バランスのよい食事、身体活動、適正な体形、感染予防が効果的といわれています。
がんの発生には様々な条件、過程がありますので、がん予防の特効薬はありませんが、日々の心がけで、がんのリスクを減らすことは可能です。


【最後に】
当院で内視鏡検査が可能です。
早期発見の為に、なにか気になる症状がある場合は早めにご相談ください。

 

2022.08.20更新

9月19日(月)・23日(金)は祭日の為、休診とさせていただきます。

患者様には大変ご迷惑をおかけ致しますが、ご了承下さいますようお願い致します。

2022.08.13更新

【脱水症について】


●脱水症とは?

 体内の【水分】が足りない状態のことを言います。体に含まれる水分を体液といい、体液は体の60%を占める水分とミネラル(電解質)、タンパク質などで構成され、生命維持に関わるさまざまな役割を果たしています。

●なぜ脱水症になるのか?

 人は汗をかくことで体温調節をします。汗のもとである水分、ナトリウム、カリウムなどの電解質が不足すると体温が下がりにくくなり、発熱の状態が続き脱水症に陥りやすくなります。電解質は神経、筋肉、心筋の収縮に関わるため、大量に失われると脱力感、手先のしびれ、不整脈などが生じることがあります。また、発汗だけではなく嘔吐や下痢も電解質を大量に失う原因となるため注意が必要です。
 脱水症の種類は水分、ナトリウム(塩)の損失に関係して、大きく2つに分けられます。

① 低張性脱水
水分と一緒に血液中のナトリウムが不足してしまう状態。長時間のスポーツなど、発汗をともなう際に発症しやすい。
② 高張性脱水
体内の水分だけが不足している状態のことで、発熱・激しい口渇状態、意識の混濁なども起こすことがあります。自分で水分補給ができない乳幼児、高齢者が発症しやすい症状です。

●脱水症の症状は?
 
 <Ⅰ度軽症>

  症状:めまい、立ち眩み、筋肉痛、こむら返り、大量の汗、手足のしびれ、意識障害・発熱はなし
  対処:涼しい場所へ移動し、体の表面を冷やしながら安静にする。水分と塩分補給を行う。

 <Ⅱ度中等症>

  症状:頭痛、吐き気・嘔吐、倦怠感・疲れ、体に力が入らない、集中力や判断力の低下、発汗、体温が正常値~40度未満、感染症のような症状が出る場合がある
  対処:涼しい場所へ移動し、体を冷やして安静にする。十分な水分と塩分補給をする。自力で水分補給ができない場合や、症状に改善が見られない場合は医療機関に受診が必要となる。

 <Ⅲ度重症>

  症状:Ⅱ度の症状に加え意識障害、けいれん、まっすぐ歩けないなどの運動障害、高体温、肝臓・腎臓の障害、発汗の停止
  対処:涼しい場所へ移動し、体の表面と体内を冷やしながら呼吸管理する。救急車を要請。入院が必要となる。

●脱水症のサインは?

 ①握手してみる
  →手足の血流が悪くなり、手が冷たくなる。
②舌を見る
→脱水症になると口の中の唾液が減るため、舌の表面が乾いてきます。
③ 皮膚をつまんでみる
→皮膚にはたくさんの水分が含まれています。脱水症になると水分が減り、弾力性もなくなるため、皮膚がつままれた形から3秒以上戻らなかった場合は注意。(2秒以内に戻ればOK)
④ 親指の爪の先を押してみる
→指先の血管は細く、変化が出やすいため赤みが戻るのが遅ければ注意。(2秒以内に戻ればOK)

 ちょっとでもおかしいなと感じたらチェックしてみましょう。

●脱水症の予防は?

一般成人の場合、食事も含めて少なくとも一日2.5L以上の水分補給をする必要があると言われています。しかし高齢者の場合、飲み物だけで補うのは難しく、水分量の多い食事を心がけるのも重要です。


●経口補水液とスポーツドリンクの違いは?
 
 経口補水液は一般的なスポーツドリンクよりも電解質濃度が高く、糖濃度は低くなっています。そのため、通常の水分補給であればスポーツドリンクでも十分ですが、下痢・嘔吐・発熱・激しい発汗・食事や水分摂取量の低下などによる脱水症には経口補水液が適しています。
 経口補水液は作ることもできますが、作ったその日に飲み切るようにしましょう。いざという時にすぐ対処できるように市販のものをストックしておくことをおすすめします。


脱水症は発見が遅れてしまうと熱中症だけでなく、脳や心臓の血管に血栓が詰まり、脳梗塞や心筋梗塞など重篤な病気への引き金になりかねません。特に夏は汗をかくことも多いため、こまめに水分補給を心がけましょう。

2022.08.12更新

8月13日(土)関東地方で台風の予報が出ております。

台風の影響により開錠時間・診察開始時間が遅れてしまう可能性がございます。

誠に恐れ入りますが、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

2022.07.29更新

【睡眠時無呼吸症候群について】


Q.  睡眠時無呼吸症候群とは何ですか

A.  睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に何度も呼吸が止まってしまったり、浅くなったりして体の低酸素状態が発生する病気です。
日本での潜在的な患者数は約200万人以上と推定されていますが、実際に治療している人は、その約2割程度です。これは睡眠中に起こるため、病気の存在に気づきにくいことが原因と考えられます。
しかし、重症のまま放置していると、命に関わることもあります。低酸素状態が続くことで、心臓や血管に大きな負担がかかるため、「心筋梗塞」や「脳梗塞」、「高血圧」、「不整脈」などが起こりやすくなります。
また、低酸素状態と睡眠不足の影響で、体に過度なストレスが加わると、糖の代謝にかかわる「インスリン」などホルモンの働きが悪くなり、「糖尿病」や「脂質異常症」を招くこともあります。

………………………………………………………………………………

Q.  どんな症状がありますか

A. ①周囲の人からいびきを指摘される
  ②夜間の睡眠時によく目が覚める・息苦しくなって目が覚めてしまう
  ③朝起きた時の頭痛や体の怠さ
  ④日中の眠気
  ⑤集中力の低下
  ⑥口やのどの渇き
  ⑦居眠り
  ……などの症状が挙げられます

………………………………………………………………………………


Q. どうして睡眠時無呼吸症候群になるのですか

A. 睡眠時無呼吸症候群は口や鼻から肺の入り口である声帯に至る空気の通り道が細くなるために発生する閉塞型、呼吸を調整する脳の動きが低下するために発生する中枢型、これら両方が関係する混合型に分けることが出来ますが、閉塞型が多くを占めています。
閉塞型の睡眠時無呼吸症候群の原因のひとつは肥満があげられます。睡眠中には喉の緊張が緩むため、正常な人でも空気の通り道が細くなりますが、呼吸が止まるまでには至りません。しかし、肥満の人では、喉に脂肪が多くついているために空気の通りが悪くなるのです。肥満ではない方でも顎の骨格や喉の奥の形や扁桃腺や口蓋垂が大きいなどによっては空気の通りが悪くなりやすく、無呼吸の原因となります。また飲酒や睡眠剤の内服は、喉の緊張を緩める作用があり、無呼吸を増加させる可能性があります。

………………………………………………………………………………

Q. 睡眠時無呼吸症候群を調べるにはどうしたらいいのですか

A.   終夜睡眠ポリグラフィー検査というものがあります。睡眠の精密検査で、呼吸が止まったり、浅くなったりする回数(無呼吸低呼吸指数;AHI)が1時間に5回以上に増加すると睡眠時無呼吸症候群と診断されます。一般的には、この回数が20回以上に増えた場合に、鼻マスクによる持続陽圧呼吸療法の適応になると考えられています。この基準はAHI20回以上の患者さんの寿命が、20回未満の患者さんよりも短いことなどから決められており、睡眠呼吸障害研究会によるガイドラインにも記載されています。

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Q.  治療の方法はどんなものがありますか

A.   重症度に応じて、装具や装置を用いて気道を確保する睡眠時無呼吸症候群の治療は、重症度に応じて適切な治療法が選択されます。
軽症から中等症の場合には、主に「マウスピース」が用いられます。睡眠中に装着することで、気道を確保します。中等症から重症の場合は、主に「CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸)療法」が行われます。この治療の長期効果と安全性は十分な検証がなされ、現時点で主たる治療法となっています。他にも気道を拡げる外科的治療はあります。その適応は、術後の再発もあるため、十分な術前評価が必要です。

………………………………………………………………………………

Q. CPAP治療方法とはなんですか

A. CPAP療法とは睡眠中、鼻に装着したマスクから適切な圧力をかけた空気を送り込み、気道を確実に広げる治療法です。CPAP療法を始めた多くの患者さんがよく眠れるようになったなど効果を実感しています。ただ、たまに装置が気になって眠れないなど、継続が困難な患者さんもいます。その場合には、マウスピースによる治療などに変更したりすることもあります。
CPAP療法には高い効果がありますが、気道の塞がりを根本から治すものではありません。外来通院による治療継続が必要となります。
また、CPAP療法では鼻から空気を送り込むので、鼻炎や副鼻腔炎など鼻の通りを悪くする病気があると、十分な効果が得られません。この場合は、耳鼻咽喉科で鼻の治療を受けます。

 

睡眠時無呼吸症候群の治療や検査は当院で行なっています。家族からいびきを心配されていて困っていたり、日中の眠気や居眠りに悩まされている方も多いのではないのでしょうか。ふだんから寝不足気味だからと思っていたら検査をしてみた結果、睡眠時無呼吸症候群だったという可能性は大いにあります。
少しでも気になることがあれば是非当院の医師にご相談下さい。

 

 

2022.07.25更新

8月11日(木)は祭日の為、休診とさせていただきます。

患者様には大変ご迷惑をおかけ致しますが、ご了承下さいますようお願い致します。

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