仁クリブログ

2022.07.29更新

【睡眠時無呼吸症候群について】


Q.  睡眠時無呼吸症候群とは何ですか

A.  睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に何度も呼吸が止まってしまったり、浅くなったりして体の低酸素状態が発生する病気です。
日本での潜在的な患者数は約200万人以上と推定されていますが、実際に治療している人は、その約2割程度です。これは睡眠中に起こるため、病気の存在に気づきにくいことが原因と考えられます。
しかし、重症のまま放置していると、命に関わることもあります。低酸素状態が続くことで、心臓や血管に大きな負担がかかるため、「心筋梗塞」や「脳梗塞」、「高血圧」、「不整脈」などが起こりやすくなります。
また、低酸素状態と睡眠不足の影響で、体に過度なストレスが加わると、糖の代謝にかかわる「インスリン」などホルモンの働きが悪くなり、「糖尿病」や「脂質異常症」を招くこともあります。

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Q.  どんな症状がありますか

A. ①周囲の人からいびきを指摘される
  ②夜間の睡眠時によく目が覚める・息苦しくなって目が覚めてしまう
  ③朝起きた時の頭痛や体の怠さ
  ④日中の眠気
  ⑤集中力の低下
  ⑥口やのどの渇き
  ⑦居眠り
  ……などの症状が挙げられます

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Q. どうして睡眠時無呼吸症候群になるのですか

A. 睡眠時無呼吸症候群は口や鼻から肺の入り口である声帯に至る空気の通り道が細くなるために発生する閉塞型、呼吸を調整する脳の動きが低下するために発生する中枢型、これら両方が関係する混合型に分けることが出来ますが、閉塞型が多くを占めています。
閉塞型の睡眠時無呼吸症候群の原因のひとつは肥満があげられます。睡眠中には喉の緊張が緩むため、正常な人でも空気の通り道が細くなりますが、呼吸が止まるまでには至りません。しかし、肥満の人では、喉に脂肪が多くついているために空気の通りが悪くなるのです。肥満ではない方でも顎の骨格や喉の奥の形や扁桃腺や口蓋垂が大きいなどによっては空気の通りが悪くなりやすく、無呼吸の原因となります。また飲酒や睡眠剤の内服は、喉の緊張を緩める作用があり、無呼吸を増加させる可能性があります。

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Q. 睡眠時無呼吸症候群を調べるにはどうしたらいいのですか

A.   終夜睡眠ポリグラフィー検査というものがあります。睡眠の精密検査で、呼吸が止まったり、浅くなったりする回数(無呼吸低呼吸指数;AHI)が1時間に5回以上に増加すると睡眠時無呼吸症候群と診断されます。一般的には、この回数が20回以上に増えた場合に、鼻マスクによる持続陽圧呼吸療法の適応になると考えられています。この基準はAHI20回以上の患者さんの寿命が、20回未満の患者さんよりも短いことなどから決められており、睡眠呼吸障害研究会によるガイドラインにも記載されています。

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Q.  治療の方法はどんなものがありますか

A.   重症度に応じて、装具や装置を用いて気道を確保する睡眠時無呼吸症候群の治療は、重症度に応じて適切な治療法が選択されます。
軽症から中等症の場合には、主に「マウスピース」が用いられます。睡眠中に装着することで、気道を確保します。中等症から重症の場合は、主に「CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸)療法」が行われます。この治療の長期効果と安全性は十分な検証がなされ、現時点で主たる治療法となっています。他にも気道を拡げる外科的治療はあります。その適応は、術後の再発もあるため、十分な術前評価が必要です。

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Q. CPAP治療方法とはなんですか

A. CPAP療法とは睡眠中、鼻に装着したマスクから適切な圧力をかけた空気を送り込み、気道を確実に広げる治療法です。CPAP療法を始めた多くの患者さんがよく眠れるようになったなど効果を実感しています。ただ、たまに装置が気になって眠れないなど、継続が困難な患者さんもいます。その場合には、マウスピースによる治療などに変更したりすることもあります。
CPAP療法には高い効果がありますが、気道の塞がりを根本から治すものではありません。外来通院による治療継続が必要となります。
また、CPAP療法では鼻から空気を送り込むので、鼻炎や副鼻腔炎など鼻の通りを悪くする病気があると、十分な効果が得られません。この場合は、耳鼻咽喉科で鼻の治療を受けます。

 

睡眠時無呼吸症候群の治療や検査は当院で行なっています。家族からいびきを心配されていて困っていたり、日中の眠気や居眠りに悩まされている方も多いのではないのでしょうか。ふだんから寝不足気味だからと思っていたら検査をしてみた結果、睡眠時無呼吸症候群だったという可能性は大いにあります。
少しでも気になることがあれば是非当院の医師にご相談下さい。

 

 

2022.07.25更新

8月11日(木)は祭日の為、休診とさせていただきます。

患者様には大変ご迷惑をおかけ致しますが、ご了承下さいますようお願い致します。

2022.07.15更新

【慢性便秘症について】

-----便秘とは-----

高齢化や生活習慣の変化により「便秘」を訴える方は非常に増加しています。
日本のガイドラインでは【本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態】と定義されています。
つまり通常大腸内には生理的に残留している便があり、生理的範囲を超える便が貯留しないようにしているのが正常な排便で、過度の便が貯留していなければ排便がなくても異常ではありません。
一律に排便回数や排便量で決めるものではないのです。
そして腹部膨満感や腹痛、排便困難感や肛門のつまり感等が出現し治療を要するのが「便秘症」です。

お通じの不調…排便時はどんな状態ですか?
あまりお通じがなかったりお通じがすっきりしないと悩んでいる方、排便時の状態(下記①~⑤)をチェックしましょう。

① 排便回数の減少
② 排便時にいきみ
③ 下腹部の痛み・不快感
④ 便がかたい
⑤ 不快感

便秘は通常、3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態のことをいい症状は多岐にわたります。


----ー便秘の種類-----

便秘は急におこる「急性便秘」と継続して発症している「慢性便秘」に分類されます。
さらに原因別で、
腸に原因がなく腸の働きの低下などで発症する「機能性便秘」、
過敏性腸症候群(IBS)による「IBS便秘型」、
他の病気の影響による「症候性便秘」、
飲んでいるお薬の影響による「薬剤性便秘」、
そして腸自体の影響による「器質性便秘」に分類されます。


-----原因-----

便意を無視する習慣
下剤や浣腸の乱用
ストレス
などさまざまな原因によっておこります。


-----慢性便秘の診断-----

まず問診で患者さんに排便の状態などをお伺いします。
日々の排便の状態を伝えられるようにしておきましょう。

他の病気が原因で便秘となっている可能性がないかを確かめるために、下記検査を行う場合があります。

● 血液検査
● 腹部X線検査
● 腹部超音波検査
● 尿検査
● 大腸内視鏡検査

便秘症を引き起こす最も重要な病気は大腸がんです。
よって、大腸カメラを受けたことがない方にはまず大腸カメラを行い、がんや大きなポリープが無いかなどを確認します。

当院では大腸カメラを受けていただく際、ストレスを少なく検査を受けて頂けるように鎮静剤を使用して眠っていただいたり、
お腹の手術後などの影響で検査中に痛みが伴ってしまう場合には鎮痛剤を使用し痛みを軽減するといった工夫をしておりますので、安心して検査を受けて頂けます。

また、大腸のどこに便が貯まっているかで便秘のタイプが分かれ、治療方針もタイプごとに異なりますので、
腹部レントゲンを撮影し大腸のどこに便が貯留しているかを見極めるのも大事な検査方法であります。
診察時に内服薬を確認して薬の副作用による便秘の除外とともに、他にかかっている疾患の便秘への影響を評価することも重要です。


-----治療-----

慢性便秘症診療ガイドラインには、治療法として大きく二つ挙げられています。
「保存的治療」と「外科的治療」がありますが当院では「保存的治療」を行っています。
具体的には生活習慣や食習慣の改善、薬物療法などです。

ここ数年で便秘の新しい薬が販売されさまざまな機序で便秘治療が行われています。
市販薬でも便秘の薬は手に入りますが、刺激性下剤という種類が多く連用することにより薬剤の耐性が出てきてしまいます。
それにより効果が減弱し十分な効果が得られなくなるケースも少なくありません。
このような場合には各々の便秘の病態を解析して、個々に適した治療を選択し直すことが必要です。

便秘で苦しんでおられる方の多くは、便回数の減少もさることながらお腹の張りや排便後の残便感を訴えられています。
外来で症状の改善をしっかり聞きながら、薬の量の調節や薬の追加、変更をこまめにするよう診療させていただきます。

少しでもご不安な事がございましたらまずは診察にお越しくださいませ。

2022.07.08更新

新型コロナウイルスワクチン4回目接種の予約を開始しております。(8月中旬頃まで)

接種については、3回目接種の完了から5か月以上経過し、且つお手元に4回目の接種券・予診票が届いている以下の方が対象となります。

尚、江戸川区の自治体で基礎疾患のある方の把握が困難で、3回目接種から5ヶ月以上経過した18歳以上の方全員に接種券が送付されているようですが、基礎疾患にあてはまらない方は、まだ接種できないので、ご了承下さい。

【接種対象者】

60歳以上の方

18歳以上60歳未満の方で基礎疾患を有する方(*注意事項あり)

※予約の際に接種可能日の確認が必要となります。

お手元に接種券をご用意の上、ご連絡くださいますようご協力お願いいたします。

 

*18歳以上60歳未満の方で基礎疾患を有する方で、当院かかりつけ(定期的に通院)でない方は、基礎疾患を証明するもの(お薬手帳か他院の検査結果(時系列)など)がないと、接種できないので、お電話での予約はできず、来院での予約になります。

忘れずに

①接種券

②基礎疾患を証明するもの(お薬手帳や他院の検査結果(時系列))

③身分証

をお持ち下さい。基礎疾患にあてはまらない方は、予約が出来ずお断りする場合もございますので、ご了承下さい。

 

2022.07.05更新

7月6日(水)朝、関東地方で台風の予報が出ております。

台風の影響により開錠時間・診察開始時間が遅れてしまう可能性がございます。

誠に恐れ入りますが、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

2022.07.05更新

「骨粗鬆症について」

骨粗鬆症について、よくある質問をまとめました。

Q.骨粗鬆症とはなんですか?

A.骨粗鬆症とは、骨の量(骨量)が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。
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Q.骨粗鬆症の症状は?

A,まずは症状チェック→次の3つの質問のうち当てはまる項目はありますか?
① 以前より身長が低くなった。
② 背中や腰が曲がってきた。
③ 背中や腰に痛みを感じる。
1つでもあてはまれば、骨粗鬆症の可能性があります。
その他、日常のこんなことも骨粗鬆症に気づくきっかけになります。
① 食事量は少ないのに、お腹がすぐいっぱいになる。
② すぐに息切れがする。
③ 以前から着ていた服の身丈が体に合わなくなった。
④ 重いものを持ったり、立ち上がるときに腰が痛む。
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Q.骨粗鬆症はどんな人に多いですか?

A.過去に骨折したことのある人、タバコを吸う人、お酒を多く飲む人、ステロイド系のお薬を使用している人、両親に骨折歴(特に太ももの付け根の骨折)のある人、運動不足の人や、体を動かすことが少ない人は骨粗鬆症になりやすいと言われています。
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Q,骨粗鬆症の検査はどんな検査をしますか?

A.骨密度測定検査を行います。骨密度測定検査とは、骨を構成しているカルシウムなどの量(骨量)を測り、骨の強度を調べる検査です。骨密度検査には大きく分けて、超音波を用いる検査とX線(レントゲン)を用いる方法の2種類があります。当院ではMD法という方法で、手の横に厚さの異なるアルミニウム板を置き、一緒にX線を撮影し、写真上のアルミニウムの光学的濃度を基準に濃淡の差をコンピューターで解析をする、手の骨密度を測定する方法で検査しています。この方法は、体幹部へのX線被爆がなく、X線撮影自体は短時間で済みます。
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Q.骨粗鬆症の検査結果は?

A.若年成人の平均値と比較して80%以上で正常、70~80%では骨量減少、70%未満は骨粗鬆症と診断されます。
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Q.骨粗鬆症の治療は?

A.骨量(骨密度)の減少具合によりますが、治療法の中心は主に薬物治療で、食事療法と運動を並行して行っていきます。現在使われている薬は、次の3つのタイプがあります。
1. 骨を壊す働きを抑える薬
2. 骨を作る働きを高める薬
3. 骨の作り替えのバランスを整える薬
多くの薬の中から、患者さんの「骨折の危険性」「年齢」「ライフスタイル」などに合わせて選択します。骨粗鬆症の薬は、正しい用法で継続して使えば、骨密度を高めて骨折の危険性を減らす効果があります。基本的に、骨折を起こした人、骨量を減らすような病気のある人、運動や栄養の摂取が不足している人は、薬を続ける必要があります。
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Q.骨粗鬆症の治療期間は?

A.骨粗鬆症と診断され、せっかく薬物治療を始めても、1年後には患者さんの約5割が処方通りの服薬ができていないという報告があります。多くの場合、骨粗鬆症の薬物治療は、1年・2年~といった息の長い治療で効果があらわれます。痛みが消えた、なかなか骨密度があがらないからと、自己判断で薬を中断しないようにしましょう。
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Q.骨粗鬆症はどうすれば予防できるの?

A.①食事について
  カルシウムとカルシウムの吸収を助けるビタミンDを多く含む食品をとることが大切です。カルシウムは乳製品や大豆製品、小魚、緑黄野菜、海草などに多く含まれています。骨粗鬆症を含めた生活習慣病は、長年の食生活のかたよりが大きな原因となりますから毎日の食事をバランスよくとることがすべての病気を予防する基本であることに変わりはありません。しかし栄養に注意している人でも、カルシウムの摂取だけがどうしても不足してしまうのが現状です。厚生労働省の栄養調査によりますと、現在の日本人は、糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン・ミネラルのすべての栄養素を十分とっていますが、唯一カルシウムだけは所要量に達していません。そこで、いろいろな種類の食品をバランスよく、しっかり食べることを基本にして、そのうえでカルシウムの摂取を意識して行うことが望まれます。最低限、毎日の食卓にあと200ミリグラムのカルシウム、目安として牛乳1本分、豆腐なら半丁を加えてください。
  ②運動について
若いころ運動をしなかった人や、長い間病気で寝込みがちだった人は、体格がきゃしゃになり、骨が弱く、骨折しやすいことが知られています。カルシウムをとることが必要ですが、それと同じくらい運動も大切になります。運動は骨の血液の流れをよくし、骨をつくる細胞の働きを活発にします。さらに運動によって体の筋肉がきたえられ、身のこなしがよくなると、転びにくくなり、骨折の防止にもつながります。骨を強くするための運動は、重量挙げのような負荷の大きい運動ほど有効ですが、ふつうは散歩などの趣味の範囲でじゅうぶんです。家事で毎日こまごまと動くことでも骨を強くできます。

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★日本は世界でもトップクラスの長寿国です。現在では単に長寿を目指すだけでなく、健康で自立した生活を送れる期間をあらわす「健康寿命」を伸ばすことへの関心が高まっています。健康でイキイキとした人生を送りたいと誰しも願うものですが、実際には多くの人が長い間「健康ではない」状態で過ごしているのです。骨は私たちの体や日常の活動を支える大切な器官です。骨粗鬆症を予防し、骨を健康に保つことは、健康寿命を延ばすことにもつながるのです。


★特に女性は症状がなくても、40歳以上になったら定期的に骨密度を測ることをお勧めします。当院でも骨密度検査行っております。お気軽にご相談下さい。

 

 

2022.06.27更新

 【エコーの所見用紙にはなんて書いてある?】

今回はエコーの所見用紙の見方についてお話ししたいと思います。

 少し前までは、エコーの所見用紙は他院の紹介状資料として患者様にお渡しするくらいでした。内容を目にするときは診察時にちらっと目に入るくらいで、直接どのような内容だったかはわからなかったと思います。

 現在当院ではエコーの所見用紙をご希望になられる患者様にはお渡ししております。なんとなくでどんな結果だったかは、おおよそおわかりいただけるかもしれませんが、もう少し詳しくわかりたいですよね。

 当院では主に以下の3種類の所見用紙を使っております。

腹部頸部心臓

 左から、腹部エコー、頸動脈エコー、心臓エコーの所見用紙になります。これらすべて解説すると膨大な量になってしまいますので、比較的わかりやすい腹部エコーの所見用紙について話していきます。

 

 以下の所見用紙実際の患者様の所見用紙ではなく今回は解説用にサンプルとして書き込んでみました。仮想ではあるのですが実際よく見られる所見内容です。

囲い

所見用紙左側には各臓器のエコー上の特徴(検査初見)を記載、その右側の大きな空欄に簡単な見取り図(シェーマ)を書きます。

そして所見用紙右下には上記の所見のまとめを記載します。Impressionとも呼ばれます。実際、医師はここから見て、上記の検査所見を見て、画像を確認していくことと思います。またここで、検査条件も記載します。

では丸くで囲った①から⑤までを解説したいと思います。

 

①肝臓:所見あり

 Sizeで右葉腫大とありますが、肝臓は左右に広がっているので右側部分がやや大きいという意味です。Internal echo(内部エコー):Moderate fatty change(中等度脂肪性変化)。つまりは肝実質内部エコーは中等度脂肪性変化を呈しているということです。その様子は深部減衰と記されています。深部減衰とは、肝細胞内に多量の脂肪が沈着されている際超音波のビームが通過すると反射・吸収・拡散しながら減衰します。なので、通過し始めは(表面側)明るく描出され深部に進むにつれ暗く描出されます。軽度の脂肪性変化なら超音波の減衰は著明ではありません。肝臓の脂肪性変化の指標としても用いられます。edge(辺縁):dull(鈍化)。先ほど述べました、肝腫大や脂肪肝の付随所見でもあります。脂肪肝のほかにも何らかの肝機能障害でもみられ肝臓が丸みを帯びてきます。S6に5mmのcyst(のう胞)。まずS6とは。肝臓は大きく8区域(Segment)に分けられます。このSegmentのsをとって6番目の区域と示します。いわば、"肝臓6丁目"と思っていいでしょう。cyst(のう胞)は小さく少数認められる場合正常な人でもみられ、ほとんど臨床的意義がないとされます。肝臓以外でも膵臓、腎臓、腹部以外でも乳腺や甲状腺でも認められます。肝臓最後の項目にSOLの有無がありますがSOLとは?占拠性病変または腫瘤性病変のことをいいます。腫瘤と聞くと悪いイメージが立ちますが良性病変も含まれます。この場合SOL⊕はこののう胞を指します。

②胆のう:所見あり、膵臓:一部初見判定不能

 この方は検査2時間前に食事をとってしまいました。腹部エコーにおいて絶食時の検査が原則ではありますが、予定外に検査が追加されたり誤って食事をとってしまったり、食後のエコーを行うことが多々あります。食後により描出部位は限定されます。さてシェーマのように胆のう(GB)は委縮(Atrophy)してます。委縮はしていますが内腔に音響陰影(AS:acoustic shadow)伴う約10mmの結石(stone)が認められました。通常、空腹時の胆のうは委縮はしていなく胆のう壁も3mm以下とされています。しかし食後1時間以降胆のうは収縮し壁は全体に肥厚し約5mm位までになりますので5mm以下のポリープや胆のう腺筋(ADM:Adenomyomatosis)はわからなくなります。 食後以外で胆のうが委縮し壁肥厚を認める代表的な疾患は慢性胆のう炎です。ただしこの検査所見では内腔smooth(平滑)と記載されてますので、不正な壁肥厚伴う慢性胆のう炎は考えにくいです。いずれにしても、胆石が認められた際胆のう壁を観察することが極めて重要なので、やや委縮気味であるときは必ず食事の有無を聞いております。食後でどうしても判断つかないときは次回の検査で観察するしかありません。CBD(総胆管:Common Bile Duct):dilatation(拡張)⊖。総胆管拡張なし。ここも食事の影響を受けやすい場所ですが、描出できたようです。総胆管は胆のうから胆のう管を経て肝外に向かい十二指腸内に至ります。食事により十二指腸付近からガスを発生しますので見えなくなってしまいます。多数の胆石を認め総胆管拡張像を伴っている場合総胆管内に結石を認められることもあります。また、悪い話でありますが、早期胆管癌の場合腫瘤が認められなくても総胆管拡張(この場合内腔不整像を伴う)から発見されることもあるので、下部胆管までしっかり観察しなくてはならないところです。因みに胆のう摘出した患者様で総胆管拡張像を認められますが、生理的拡張なので拡張自体は問題はないとされてます。膵臓は概ね食事の影響大きく受けず2/3くらいは描出できてるようです。しかし、Tail(膵尾部)はpoor echo(描出不可)と記載してます。おそらく胃や腸管ガスで見えなくなっているのでしょう。 腹部エコーで食事により見づらくなるのは胃に残渣がたまり見えなくなると思われがちですが、実は食物の量でなく発生する消化管ガスの影響です。昔レントゲン技師さんに聞いた話ですが骨盤腔内MRの場合食事をとるとガスよりも腸管が動き膀胱内を見ようにも絵にならなくなるそうです。

 脾臓:所見なし

 特に問題ないようです。一つ聞きなれないフレーズSplenomegaly。これは脾腫。脾腫は主に肝硬変や白血病で見られます。特に肝疾患で肝硬変が認められた時、脾腫の有無も見ることは当然ですが脾門部の血管拡張も観察すべきところです。体格の大きい男性で計測すると大きく計測されますが脾臓の形状から容易に脾腫でないことがわかります。

③腎臓:所見あり

 適当なシェーマで申し訳ありません。左腎臓の辺縁を書いたつもりです。上記肝臓や膵臓、脾臓でたびたび見られるSEの項目があります。SEって?Strong Echo、主に石灰化を指します。特にAS(音響陰影)を伴っている場合結石が疑われます。シェーマで示す通り腹部エコーでは腎臓単体を描出する際上極(上側の腎臓)は左、下極(下部の腎臓)は右として描出します。この場合左腎上極に3mm以下の石灰化が認められるということです。非常に小さいためAS(音響陰影)が見えないのかもしれませんが、微細な石灰化と考えられます。なお、腎盂内に認められた場合、微小血管壁の反射との鑑別が困難な場合があります。Hydronephrosis:水腎症。正確には腎盂だけでなく尿管も拡張している場合を指します。正常な尿管はエコーでは見えません。見えたときは拡張です。腎盂拡張像や水腎症が認められるとき、結石や腫瘤の有無を観察しなければなりません。特に尿管拡張伴う水腎症では、観察範囲を腎臓から出て尿管内も可能なところまで追っていくと尿管結石が見つかることも多いです。また右下腹部痛精査時に虫垂炎や右卵巣嚢腫も視野にトレースしてたら偶然尿管結石が見つかったこともありました。

④膀胱・前立腺:所見判定不可(描出不可)

 この患者様は検査前にトイレに行ってしまったようです。仕方ありません。排尿すると膀胱は食後の胆のうのように委縮してしまいます。さらに周囲の腸管も寄ってくるのでガス像となり膀胱のほか前立腺も見えなくなってしまいます。ただし、男性患者で著しい前立腺肥大が認められるときは前立腺を、女性患者なら大きな卵巣嚢腫や子宮筋腫が認められるときは卵巣や子宮を観察できることがあります。当院では腹部エコーにおいて下腹部領域の膀胱・前立腺・子宮・卵巣までスクリーニング検査します。検査前の検尿は控えてますが、カルテ上例えば前立腺チェックとの指示がない限り改めて尿溜めはしておりません。また、排尿後でも飲水30分以降で膀胱を観察できることもあります。一般に下腹部領域のエコー検査では検査前2時間は排尿しないよう説明してる施設が多いと思います。余談ですが、昔私が泌尿器の病院で勤めていたころ、泌尿器にかかられている患者様に「2時間の尿溜めは苦痛以外何物でもない、2時間我慢できるくらいなら泌尿器に来ない!」と話されてたのを思い出しました。検査のためでありますが、そこは臨機応変でと思います。当院で行ったことはありませんが敢えて排尿直後に検査する場合があります。残尿量の測定です。排尿後の膀胱を計測し簡易的な体積を算出します。決まった正常値はないのですが上限を50mlまたは100mlとされています。膀胱のある位置でもし描出できなければ当然初所見はありません。

⑤以上ここまで長くなりましたがImpressionです。以上の検査所見からの要約を箇条書きに記載します。前回の初見と変動があった場合今回の様に脂肪肝はやや増強か、と、経過観察中のもので変動なければ著変なしと記載します。検査所見ではアルファベットの略語で記載されますが、ここではわかりやすく日本語で正式名称で記載すべきです。今回書かれてませんが、まれにS/Oと記載されていることがあります。S/O:suspect of。疑い、という意味です。因みにR/O。R/O:Rule out。除外、鑑別という意味です。ここでも本当は日本語で~疑い、~との鑑別を、記すべきだと思いますが。緊急を要す初見があったりする場合、CT/MR等精査希望と記します。施設によりますが技師によって書かれた所見用紙と画像をもとに読影に回すこともあります。内容に問題なければ技師のサインのほか、読影医のサインが記されます。

 

最後に

途中ちょっと難しい内容になってしまいましたが、簡潔に結果を見るには最後の要約を見てください。そしてその結果に至ったプロセスルールは検査所見に記載してあります。最初は略語ばかりで難解に思えるかもしれませんが毎回所見用紙を見ていくうちに何となくわかってくると思います。

2022.06.21更新

【熱中症について】


熱中症とは
体温の上昇で身体にさまざまな症状が現れる状態です。熱中症は熱失神や熱けいれん、熱疲労などさまざまなパターンがあります。軽症の場合はめまいや筋肉痛などが現れ、重症の場合は呼びかけに応じなくなったり、けいれんを起こすこともあります。

気温や湿度が高い日は熱中症の発症数が急増
熱中症は、毎年7月から8月に多く発生しています。特に梅雨明けの蒸し暑く、急に暑くなる7月には、体が暑さに慣れていないため、例年熱中症による救急搬送者数や死亡者数が急増しています。
私たちの体は、血管を広げて外気に体内の熱を放射したり、汗をかいて蒸発させたりして体温の急激な上昇を防いでいます。しかし、気温が高いと体内の熱は放散されず、湿度が高いと汗は蒸発しません。
熱中症は、周りの温度に体が対応することができず、体内の水分や塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れ、体温の調節機能がうまく働かないなどが原因で起こります。
日最高気温が30度を超えるあたりから熱中症による死亡者数が増え始め、その後気温が高くなるにしたがって死亡率が急激に上昇します。また、熱中症は、気温が高い場合だけでなく、湿度が高い場合や、風が弱い、日差しが強いなどの環境でも起こりやすくなります。近年、地球温暖化や大都市のヒートアイランド現象により、熱中症の危険性は高まってきています。特に、小さい子ども、高齢者、体調不良の人、肥満の人、ふだんから運動をしていない人などは熱中症になりやすいので注意が必要です。

熱中症は予防が大切
熱中症は命にかかわる病気ですが、予防法を知っていれば防ぐことができます。熱中症を防ぐためには、「暑さを避ける」「こまめな水分補給」「暑さに備えた体作り」が大切です。一方で、新型コロナウイルスの感染を防ぐために、「身体的距離の確保」、「マスクの着用」、「3密(密集、密接、密閉)を避ける」といった「新たな生活様式」を実践することも求められています。新たな生活様式の中で、熱中症を予防するために、次のようなことに気をつけましょう。
(1)暑さを避けましょう
・感染症予防のため、換気扇や窓開放によって換気を確保しつつ、エアコンの温度設定をこまめに調整しましょう。
・外出時は暑い日や暑い時間帯を避け、無理のない範囲で活動を。
・涼しい服装を心がけ、外に出る際は日傘や帽子を活用しましょう。
・少しでも体調に異変を感じたら、涼しい場所に移動し、水分を補給する。
(2)適宜マスクをはずしましょう
・気温・湿度の高い中でマスクをすると熱中症のリスクが高くなるため注意が必要です。
・屋外で人と十分な距離(2m以上)が確保できる場合は、マスクをはずしましょう。
・マスクを着用しているときは、負荷のかかる作業や運動を避け、周囲の人との距離を十分にとったうえで、適宜マスクをはずして休憩を。
(3)こまめに水分を補給しましょう
・のどが渇く前に、こまめに水分を補給する(目安は1日あたり食事以外の飲水で
1.2リットル)。
・たくさん汗をかいたときは、スポーツドリンクや塩あめなどで水分とともに塩分も補給。
(4)日ごろから健康管理をしましょう
・日ごろから体温測定や健康チェックをしましょう。
・体調が悪いと感じたときは、無理せず自宅で静養を。
(5)暑さに備えた体づくりをする
・暑くなり始めの時期から、適度に運動を。
・水分補給は忘れずに、無理のない範囲で行いましょう。
・「やや暑い環境」で「ややきつい」と感じる強度で毎日30分程度行い、身体が暑さに慣れるようにしましょう。
熱中症の発生には、その日の体調が影響します。前の晩に深酒をしたり、朝食を抜いたりした状態で暑い環境に行くのは避けましょう。
風邪などで発熱している人や下痢などで脱水症状(※)の人、小さい子どもや高齢者、肥満の人、心肺機能や腎機能が低下している人などは熱中症を起こしやすいので、暑い場所での運動や作業を考慮する必要があります。
※脱水症状とは、発熱や下痢・おう吐、運動などによる激しい発汗などにより、体内の水分や塩分が大量に失われた状態のことです。脱水症状になると、頭痛やめまい、倦怠感などの症状が現れ、重症になると意識を失うこともあります。

小さい子どもや高齢者は屋内での熱中症にも注意
熱中症は屋内でも起こります。小さい子どもや高齢者、病人がいる家庭では、冷房の使用を我慢しすぎないで、適切にエアコンを利用しましょう。
小さい子どもは、汗腺をはじめとした体温調節機能が十分に発達していないため、気温が皮膚温よりも高くなったときに、深部体温が上昇し、熱中症を起こしやすくなります。
また、気温が高い日などに散歩をする場合、身長が低い子どもは、地表面からの熱の影響を受けやすく、大人よりも熱中症になりやすいので、特別な注意が必要です。子どもの顔が赤かったり、ひどく汗をかいたりしているときには、深部体温がかなり上昇していると推察されますので、涼しい場所で十分に休ませましょう。子どもが熱中症にならないように、ふだんから、風通しのよい涼しい衣服を着せ、水をこまめに飲ませるようにしましょう。
高齢者は、暑さを感じにくい上に体温調節機能の大切な役割を果たしている発汗と血液循環が低下し、暑さに対する抵抗力も少なくなっています。また、のどの渇きを強く感じないため、水分不足になりがちで、気づかないうちに熱中症を起こしてしまう場合もあります。熱中症にならないために、のどが渇いていなくても、早め早めに水分補給をしましょう。


熱中症の症状が現われたら、まずは涼しい場所へ移動
では、具体的に、熱中症になるとどのような症状が現れるのでしょうか。日本救急医学会(熱中症に関する委員会)では、熱中症の症状を、重症度によってI度からIII度までの三つに区分することを推奨しています。熱中症は急速に症状が進行し、重症化しますので、軽症の段階で早めに異常に気づき、応急処置をすることが重要です。
熱中症が疑われる人を見かけたときは
すぐに風通しのいい日陰やクーラーなどが効いている室内など涼しい場所へ移す
衣服をゆるめたり、体に水をかけたり、またぬれタオルをあてて扇いだりするなどして、体から熱を放散させ冷やす。
冷たい水を与え、たくさん汗をかいた場合は、スポーツドリンクや塩あめなどにより、塩分も補給する。
自分の力で水分の摂取ができない場合や、意識障害が見られる場合は、症状が重くなっているため、すぐに病院に搬送する。
上記対応が基本となるので覚えておきましょう。

2022.06.21更新

来院前に必ずお電話にて問い合わせをお願い致します。

発熱・風邪症状(*)のある患者様は隔離する場所をご用意して対応する為、ご予約制とさせていただきます。

※検査や診察の進捗状況によりご予約のお時間通りご案内できない場合がございます、予めご了承ください。

*)風邪症状(熱・咳・喉の痛み・頭痛など)

 

2022.06.21更新

7月18日(月)は祭日の為、休診とさせていただきます。

患者様には大変ご迷惑をおかけ致しますが、ご了承下さいますようお願い致します。

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仁愛堂クリニック 診療時間 TEL:0120-905-728 お電話でのお問い合わせはこちら 内視鏡検査専用TEL:0120-905-728
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