疾患のお話「過敏性腸症候群について」
2025.09.16更新
「あれ?お腹の調子がいつもと違う…」もしかして、過敏性腸症候群かも?
・なんだか最近、お腹の調子がすぐれない…。
・通勤電車の中で急にお腹が痛くなったり、大事な会議中にガスが溜まって気になったり…。
・病院で検査しても特に異常はないと言われたけど、やっぱり辛い。
そんなお悩みを抱えていませんか?
もしかしたら、その症状は「過敏性腸症候群(IBS)」かもしれません。
今回は、多くの方が悩まれているこの病気について、詳しくお話したいと思います。
「一人で悩まなくていいんだ」、と少しでも心が軽くなってもらえたら嬉しいです。
●過敏性腸症候群とは?
過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome:IBS)は、腸に炎症や潰瘍といった目に見える病変がないのに、下痢や便秘、腹痛などを繰り返す慢性の病気です。
日本では、約10人に1人がこの病気に悩まされていると言われています。「気のせい」と我慢している方もいらっしゃいますが、決して珍しい病気ではありません。
原因ははっきりとは分かっていませんが、ストレスや食生活、自律神経の乱れなどが複雑に絡み合って起こると考えられています。
●症状の特徴
過敏性腸症候群の症状は、人によって様々です。主に、次の4つのタイプに分けられます。
①下痢型: 緊張したり、ストレスを感じるとお腹が痛くなり、下痢を繰り返すタイプです。男性に多く見られます。
②便秘型: コロコロした便や硬い便が続き、便秘がちになるタイプです。女性に多く見られます。
③混合型: 下痢と便秘を交互に繰り返すタイプです。
④分類不能型: 下痢と便秘の区別がつきにくく、腹部の張りや不快感などが主な症状となるタイプです。
お腹の痛みや不調だけでなく、吐き気、げっぷ、おなら、疲労感などを伴うこともあります。
●過敏性腸症候群が起こる原因
過敏性腸症候群の原因は一つではありませんが、主に以下の3つが大きく関わっていると考えられています。
ストレスと脳は密接に繋がっている、「脳腸相関」と呼ばれています。 ストレスを感じると、脳から腸にその情報が伝わり、腸の動きに影響を与えます。
・腸のぜん動運動の異常: 腸はぜん動運動によって内容物を送り出しますが、この動きが速すぎると下痢に、遅すぎると便秘になります。
・内臓の知覚過敏: 通常は感じないような些細な刺激でも、お腹の張りや痛みを感じやすくなっている状態です。
●過敏性腸症候群を和らげるために自分でできる対処法は?
症状を和らげるためには、日常生活でできることはたくさんあります。
・規則正しい食生活: 3食をきちんととり、暴飲暴食を避ける。
・食事の工夫: 脂質の多い食べ物や刺激物、カフェイン、アルコールなどを控えめにし、特定の糖質を多く含む食品を避けることで、症状が改善する場合があります。
例えば、玉ねぎ、ニンニク、牛乳、小麦粉などがこれにあたります。
・ストレスをためない: 趣味や運動などで気分転換を図り、自分なりのリラックス方法を見つけることが大切です。
・適度な運動: ウォーキングや軽いジョギングなど、継続できる範囲での運動は、腸の動きを活発にする効果が期待できます。
・十分な睡眠: 睡眠不足は自律神経を乱し、症状を悪化させる可能性があります。
●受診をした方が良い場合は?
「これくらいでクリニックに行ってもいいのかな?」と迷われる方も多いかもしれません。
しかし、以下の症状がある場合は、一度医療機関を受診することをおすすめします。
体重が急に減ってきた
血便が出る
発熱や貧血を伴う
下痢や腹痛で夜中に目が覚める
これらの症状は、過敏性腸症候群以外のより重い病気が隠れている可能性もあります。自己判断で様子を見ず、早めに専門医にご相談ください。
●どのような検査が必要で、何を調べる?
過敏性腸症候群は、症状から診断されることが多いですが、まずは他の病気ではないことを確認するために、いくつかの検査を行います。
一般的な検査は以下の通りです。
・血液検査: 貧血や炎症の有無などを調べます。
・便検査: 便に血が混じっていないかなどを確認します。
・大腸内視鏡検査: 腸の内部を直接観察し、潰瘍性大腸炎や大腸がんなどの病気がないか確認します。
仁愛堂クリニックでは、患者様の負担を軽減する、最新の内視鏡システムを導入しています。
●どのような診断と治療が行われるの?
これらの検査で他の病気が除外されると、過敏性腸症候群と診断されます。治療の基本は、生活習慣の改善と薬物療法です。
症状に合わせて、腸の動きを調整する薬、下痢止め、便秘薬、精神的な安定を図る薬などを組み合わせて使用します。
また、食事やストレスへの対処法について、医師が一緒に考えていきます。
●どのような診察が行われるの?
仁愛堂クリニックでは、まず患者様のお話をじっくりとお伺いすることから始めます。
症状だけでなく、日常生活での悩みやストレス、食生活など、背景にある様々な要因について丁寧にヒアリングさせていただきます。
患者様一人ひとりに合わせた治療プランを一緒に考え、症状の改善に向けてサポートいたします。
「こんなこと話していいのかな?」と遠慮なさらず、何でもお話しください。
●最後に…
過敏性腸症候群は、再発を繰り返しやすい病気ですが、適切な治療とセルフケアによって、症状をコントロールし、快適な毎日を送ることができます。
お腹の不調で悩んでいる方は、一人で抱え込まず、ぜひ一度当院へご相談ください。
私たち仁愛堂クリニックは、皆さまの健康をトータルでサポートする「かかりつけ医」として、いつでも皆さまに寄り添います。
~~医療法人社団 俊爽会 理事長 小林俊一 日本内科学会 総合内科専門医 日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医~~
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